シェイクスピア朗読

シェイクスピアについて徒然に綴るブログです
学問の戒め―『じゃじゃ馬慣らし』1幕3場

 

学問や教育がうまく機能しない、自然災害に見舞われっ放しで世の中お変わりありまくりなのに科学者の知見や情報が全く生かされない、何を措いてももてはやされるのは強者と勝利者のみ。

 

政治家は、読まず、考えず、会議せず、異論を認めず、意見集約しない、選挙で多数を得た好運を盾に世論を扇動し、煽り立て、分断に精を出す。

 

そもそも学問とは何だったのか、何のための教育だったのか。

 

世界に冠たるこの国の寺子屋の起源は鎌倉時代に寺院で僧侶が檀家の子弟の為の教育を行ったことが始まり、武士官僚向けの儒学中心の藩校とは別に町民が寺子屋を運営するようになり、日常生活に必要な読み・書き・ソロバンを習得させる場が設けられました。

 

寺子屋の授業料は生活の足しになる程度の米や穀物で、教える者はボランティア。

 

幕末には女の子も寺子屋に通い、裁縫、躾、女の道を教わりました。

 

江戸が世界に類のない大衆文化を生み出したのは、町民に教育が行き渡り平仮名と漢字が読み書きできるようになったから。

 

寺子屋は全国に2万軒ほどあり、その数は現在の小学校の数とほぼ同数、貨幣経済が進んだ社会にあっては農夫も漁師も大工も商人も読み書きができなければ仕事ができなかったのです。

 

読む力、考える力をつけることが学びの基礎であり、言葉の向こう側を見抜く素養を身につけずして学問云々は言えない。

 

『じゃじゃ馬馴らし』にこんなやりとりがあります。

 

 

ルーセンショー トラニオ―、見たいと憧れていた

 美しのパデュア、学芸の都、

 いまこうして実り多いロンバルディーに着いた、

 偉大なイタリーの楽園、

 父の愛情と許しを得て

 父の意向で、お前という

 信頼できる連れに恵まれ

 万事準備完了、

 一呼吸入れて、どのように学べるものか

 調べよう、知識を得る手立てを。

 真面目な市民として名立たるピザの都に、

 生れたのだ、私の父は、

 世界を股にかけた大商人。

 ヴィンセンショ―は、ペンティヴォリー家の出、

 そのヴィンセンショ―の息子は、フローレンスで育ち、

 周りの期待に応えるべく運命づけられている

 この好運を徳をもって飾り立てなければならない。 

 だからトラニオ―、さしあたり私が学ぶべきは、 

 高い徳と聖なる学問の分野

 ここに心を寄せれば、しあわせな待遇が、

 それも徳によって得られるだろう。 

 お前の考えを聞かせてくれ、ピザを出て、

  パデュアにやって来たのは、浅い水たまりを

 捨てて、深い淵に身を浸し、

 喉の渇きを癒そうと思ったからだ。

トラニオ― 失礼ながら、旦那様。

 何事も旦那様のお気持ちがそのまま私の気持ち、

 御決意どうぞそのままお続けになり、

 学問の甘き果実を召し上がりなさいませ。

 ただし(旦那様)結構とは存じますが

 徳だとか、倫理だとか、

 例のストイックとか、ストックとかはご勘弁を、

 アリストテレスのお小言に気を引かれるとか、

 オーヴィッドなんかも。きっぱりお捨てなさいませ。

 お仲間と口論なさったら、

 ありきたりなお喋りにレトリックをお効かせなさい、

 音楽と詩は、命をよみがえらせ、

 数学、形而上学は

 気が向いたらお好みのままに。

 利得生ぜず、悦び伴わざるところには。

 手身近かに申せば、好きなことを勉強なさいませ。

 

               1幕3場

 

 

Luc. Tranio, since for the great desire I had

 To see faire Padua, nurserie of Arts,

 I am arriu'd for fruitfull Lumbardie,

 The pleasant garden of great Italy,

 And by my fathers loue and leaue am arm'd

 With his good will, and thy good companie.

 My trustie seruant well approu'd in all,

 Heere let vs breath, and haply institute

 A course of Learning, and ingenious studies.

 Pisa renowned for graue Citizens

 Gaue me my being, and my father first

 A Merchant of great Trafficke through the world:

 Vincentio's come of the Bentiuolij,

 Vincentio's sonne, brough vp in Florence,  

 It shall become to serue all hopes conceiu'd

 To decke his fortune with his vertuous deedes:

 And therefore Tranio, for the time I studie,

 Vertue and that part of Philosophie

 Will I applie, that treats of happinesse,

 By vertue specially to be atchieu'd.

 Tell me thy minde, for I haue Pisa left,

 And am to Padua come, as he that leaues

 A shallow plash, to plunge him in the deepe,

 And with sacietie seekes to quench his thirst.

Tra. Me Pardonato, gentle master mine:

 I am in all affected as your selfe,

 Glad that you thus continue your resolue,

 To sucke the sweets of sweete Philosophie.

 Onely (good master) while we do admire

 This vertue, and this morall discipline,

 Let's be no Stoickes, nor no stockes I pray,

 Or so deuote to Aristotles checkes

 As Ouid; be an out-cast quite abiur'd:

 Balke Lodgicke with acquaintance that you haue,

 And practise Rhetoricke in your common talke,

 Musicke and Poesie vse, to quicken you,

 The Mathematickes, and the Metaphysickes

 Fall to them as you finde your stomacke serues you:

 No profit growes, where is no pleasure tane:

 In briefe sir, studie what you most affect.

 

  approu'd = reliable    breath = rest    ingenious = intellectual

    Trafficke = Business    become = befit    serue = fulfill

    deck = adorn    plash = pool    sacietie = satiety    Pardonato

     = Pardon me    Balke Lodgicke = Bandy words   

    quicken = revive     stomacke = appetite   tane = taken

 

 

大金持ちの跡取り息子、基礎的素養もない半馬鹿ボンボンの衒学的学問談義、これをトラニオ―が皮肉っているのです。

 

艱難は汝を玉にするか?労多くして功少なし、闇雲に頑張ったところでどうなるものでもない。

 

好きこそものの上手なれ?興味が意欲を掻き立てることは確か、だが、基礎的素養のないままにオタク的興味に嵌まったらどうなるか。

 

いずれにせよ、速すぎるスピード社会のなかでは結果のみに心が奪われ、地道にプロセスを踏むことは馬鹿馬鹿しく思えてくる、プロセスこそ肝心かつ要なのであり、苦しいが楽しくもあるはずなのに。

 

結果、結果と言い過ぎる、上っ面を整え過ぎる、先を急ぎ過ぎる、過ぎたるは及ばざるが如しで、いずれ不正と鬱と不平等と貧富格差を自らつくり出し、負のスパイラルを滑走する破目に、人間破滅、天地動乱、国も滅びるのではないか。

 

江戸の日本は地方分権では世界一の先進国でした。

 

藩体制の地方分権が徹底して庶民のニーズを中心に行政が展開されました。

 

庶民の生活を基本とする政治が主たる目標でしたので、各藩は地域性を生かした経済活動を競い、藩別の行政に幕府の支配力は及びませんでした。

 

結果として高度の貨幣経済が育ち、スペイン・イタリア・英・仏よりも栄えた世界一の先進国に。

 

明治維新政府はこれ否定、破壊し、西洋化の一大要素である強国、大国化を目指して中央集権国家、独善軍国日本を誕生させてしまった。

 

忘れてはいけません、江戸町民に学問を身につけさせ平和な平等社会を実現させたのは、地方分権制度と各藩の寺子屋教育だったのです。

 

都市と地方の在り方を考えれば、国家主導型の社会でなく、自立した個人の多様な声が反映される社会を目指すべきなのです、個人が自分の特技や体験、知識を売ることのできる生き甲斐ある社会を樹立するために。

 

システムの機能不全と人口減少に備えて江戸に学ぶ、目指すべきは各地にある小江戸的視点も含め、方法と論を束ねる大江戸学、続持可能な循環型圏域づくり、自然災害情報システムといのちの安全保障対策、文化芸術、農山漁村の多様多彩なビジョン形成、農産加工、漁業・林業のなかで育つ強い心を持った人間を育てる学問。

 

性急に学問をすすめる愚、軽佻浮薄に学問に飛びつく愚を笑い、いっとき学問の戒めを。

 

 

うちむらとしのりシェイクスピア朗読

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祭りの終わり−『十二夜』5幕1場

 

オリヴィアはセザーリオ(男装のヴァイオラ)の双子の兄セバスチャンが登場するや、取り間違え、何も知らないセバスチャンは夢見心地になって、二人はあっさり結婚してしまいます。

 

舞台の現実として受けとめ笑うしかありませんが、公爵もオリヴィアにこっぴどく罵倒された末に、セザーリオが女だと知るや、あらよあらよと言う間に結婚。

 

直前、オリヴィア、ヴァイオラ、公爵が顔を合わせたところに道化のフェステ、脳足りんのアンドルー、酔っ払いのトウビーが加わり、こんがらがった糸が縺れにもつれます。

 

 

オリヴィア ご用の向きがいつもの調べでしたら、

 私の耳にはほんとに疎ましい

 音楽をきいたあとの喚き声と同じです。

公爵 いつまでもそんなに残酷なのか?

オリヴィア いつまでも同じなのです。

公爵 ひねくれた心がかね?残酷な姫君よ

 その恩知らず、その情け知らずの祭壇に

 私の魂は真心のこもった祈りを捧げてきた

 この世にかつてなかった程に。私はどうすればいい?

オリヴィア 何なりと、ご身分にふさわしいことを。

公爵 私だって、(その気になれば)

 エジプトの盗賊のように、いまわの際に

 愛する者を殺しもしよう。(野蛮な嫉妬も、

 時には気高く思われる)が先ずはききたまえ。

 真心を歯牙にもかけずよくぞ捨ててくれた、

 その手先がどんなものかは薄々分かっている

 あなたの愛に私が占める位置から私を奪うものを。 

 大理石の胸を持った暴君として生きて行くがいい。

 だがこの小僧は、あなたが愛しているんだろうが、

 こいつを、天に誓って言う、私も可愛がっているが、

 あなたのその残酷な目から引きちぎってやる

 冠を被って小僧が座り込んでいるのが私の恨みの種。

 来い小僧、私の心は壊れたぞ。

 愛する小羊を生贄にして、

 小鳩に潜む鴉の心を恨み返してやる。

ヴァイオラ 歓んで、いそいそと、心から、

 お気持ちが安らぐなら、一千回でも死にます。

オリヴィア どこに行くのセザーリオ

ヴァイオラ 愛する方の後を追って。

 この目より私の命より何よりも慕わしく、

 将来妻を愛するようなことがあっても、

 それよりももっともっと恋しいお方。

 これが嘘なら、天よ、証人となって、

 愛を汚した罪で私の命を。

オリヴィア ああ何という、何という騙されようなの?

ヴァイオラ 誰が騙した?誰が悪いことをした?

オリヴイア 自分を忘れたの?それほどに時間が経ったの?

 神父様を呼んできて。

公爵 さあ、行くぞ。

オリヴィア どこへ?セザーリオ、私の夫、待って。

公爵 夫?

オリヴィア そう夫よ。そうでないと言える?

公爵 この人の夫、なのか?

ヴァイオラ いいえ、違います。

オリヴィア まあ、恐いからって何て卑劣な、

 礼儀作法の反則技よ。

 怖がらないでセザーリオ、しあわせを摑むの、

 ありのままの自分でいいの、そうしたら

 怖がっている人と同じ身分になれるのよ。

 僧侶登場

 ああ神父様。

 神父様、お願い

 ここで打ち明けてください、さっきまでは

 伏せておくつもりでしたけど、明かさなければ

 機が熟す前に。ご承知の

 今取り交わした事を、この方と、私との間の。

僧侶 とこしえに変わらぬ愛の絆の契約、

 互いに手と手を交わして結ばれ、

 神聖に唇を合わせて証しを立てられ、

 指輪を取り交わして固められたもの、

 この約束の儀式一切は

 私がこれを執り行いました、宣誓して。

 その時から、私の時計の示すところでは、墓場へ

 歩みますことふたときに過ぎません。

公爵 ええいこのしらばっくれた子狐。何になるか

 貴様の毛皮に白髪がばらまかれる頃には?

 それとも貴様の才覚が先走って、

 踊ったつもりがすってんころりんか。

 さらばだ、一緒になれ、足を向けろよ、

 貴様と、俺が(今後)決して出遭わない方向に。

ヴァイオラ ご主人様、違います。

オリヴィア ああそんなこと言わないで、

 少しは自信を持って、怖がり過ぎよ。

 サー・アンドルー登場。

アンドルー 頼む医者だ、すぐ

 トウビーんところへ医者を。

オリヴィア どうしたのです?

アンドルー あいつが俺の頭をかち割った、

 サー・トウビーの頭も血だらけだ。頼む助けて

 くれ、40ポンド出して家にいたほうがよかった。

オリヴィア 誰がこんなことをアンドルー

アンドルー 公爵んとこの、セザーリオだ。

 臆病者だと思っていたが、悪魔の、化け物だ。

公爵 私のところのセザーリオ

アンドルー うわあここにいる。俺の頭をかち割ったな

 何もしないのに、俺がしたのは、やれと言われたからだ

 トウビーに。

ヴァイオラ 何でそんなことを、怪我をさせた覚えはない。

 理由もなく剣を抜いてかかってきたが、

 丁寧に話して、怪我なんかさせなかったじゃないか。

 トウビーと道化登場。

アンドルー 血だらけの頭が怪我だろ、怪我させた

 じゃないか。血だらけの頭を何とも思わないのか。

 ほれトウビーがびっこを引いて来た、きいてみろ。

 酔っぱらってさえいなきゃ、やっつけるところだった

 こてんぱんに。

公爵 どうなすった、一体全体?

トウビー どうもこうも、怪我させやがった、それでおしめえよ。

 おい、外科医のディックを知らねえか、阿呆?

道化 ああ酔っぱらっているよトウビー1時間前から。あの人の目は

 朝の8時に沈んでいるよ。

トウビー ならば悪党だ、八拍子ののろま踊り。俺は

 酔っぱらいの悪党は大嫌いなんだ。

オリヴィア 向こうに連れてってくれない?誰がこんなことを

 二人に?

アンドルー 介抱してやるよトウビー、一緒に包帯してもらおう。

トウビー 馬鹿が介抱してくれるってか、気取り屋の、

 ごろつきめが。薄っぺら野郎の、間抜けが?

オリヴィア 寝かしつけて、傷を手当しておやり。

 セバスチャン登場。

セバスチャン すみませんお姫様御親戚を怪我させてしまって。

 ですが血を分けた兄弟でも、

 身の安全のためには仕方がなかったことでしょう。

 変な顔をしてらっしゃいますね、どうやら

 ご機嫌を損ねてしまったようだ。

 許してください(どうか)誓いに免じて

 取り交わしたばかりの、先ほどの。

公爵 一つの顔、一つの声、一つの着物、しかも二人、

 自然のなせる鏡の像、つまり、二人に非ず。

 

                5幕1場

 

 

Ol. If it be ought to the old tune my Lord,

 It is as fat and fulsome to mine eare

 As howling after Musicke.

Du. Still so cruell?

Ol. Still so constant Lord.

Du. What to peruersenesse? you vnciuill Ladie

 To whose ingrate, and vnauspicious Altars

 My soule the faithfull'st offrings haue breath'd out

 That ere deuotion tender'd. What shall I do?

Ol. Euen what it please my Lord, that shal becom him.

Du. Why should I not, (had I the heart to do it)

 Like to th'Egyptian theefe, at point of death

 Kill what I loue: (a sauage iealousie,

 That sometime sauours nobly) but heare me this:

 Since you to non-regardance cast my faith,

 And that I partly know the instrument

 That screwes me from my true place in your fauour:

 Liue you the Marble-brested Tirant still.

 But this your Minion, whom I know you loue,

 And whom, by heauen I sweare, I tender deerely,

 Him will I teare out of that cruell eye,

 Where he sits crowned in his masters spight.

 Come boy with me, my thoughts are ripe in mischiefe:

 Ile sacrifice the Lambe that I do loue,

 To spight a Rauens heart within a Doue.

Vio. And I most iocund, apt, and willinglie,

 To do you rest, a thousand deaths would dye.

Ol. Where goes Cesario?

Vio. After him I loue,

 More then I loue these eyes, more then my life,

 More by all mores, then ere I shall loue wife.

 If I do feigne, you witnesses aboue

 Punish my life, for tainting of my loue.

Ol. Aye me detested, how am I beguil'd?

Vio. Who does beguile you? who does do you wrong?

Ol. Hast thou forgot thy selfe? Is it so long?

 Call forth the holy Father.

Du. Come, away.

Ol. Whether my Lord? Cesario, Husband, stay.

Du. Husband?

Ol. I Husband. Can he that deny?

Du. Her husband, sirrah?

Vio. No my Lord, not I.

Ol. Alas, it is the basenesse of thy feare,

 That makes thee strangle thy propriety:

 Feare not Cesario, take thy fortunes vp,

 Be that thou know'st thou art, and then thou art

 As great as that thou fear'st.

 Enter Priest.

 O welcome Father:

 Father, I charge thee by thy reuerence

 Heere to vnfold, though lately we intended

 To keepe in darkenesse, what occasion now

 Reueales before 'tis ripe: what thou dost know

 Hath newly past, betweene this youth, and me.

Priest. A Contract of eternall bond of loue,

 Confirm'd by mutuall ioynder of your hands,

 Attested by the holy close of lippes,

 Strengthned by enterchangement of your rings,

 And all the Ceremonie of this compact

 Seal'd in my function, by my testimony:

 Since when, my watch hath told me, toward my graue

 I haue trauail'd but two houres.

Du. O thou dissembling Cub: what wilt thou be

 When time hath sow'd a grizzle on thy case?

 Or will not else thy craft so quickely grow,

 That thine owne trip shall be thine ouerthrow:

 Farewell, and take her, but direct thy feete,

 Where thou, and I (henceforth) may neuer meet.

Vio. My Lord, I do protest.

Ol. O do not sweare,

 Hold little faith, though thou hast too much feare.

 Enter Sir Andrew.

And. For the loue of God a Surgeon, send one pre-

 sently to sir Toby.

Ol. What's the matter?

And. H'as broke my head a-crosse, and has giuen Sir

 Toby a bloody Coxcombe too: for the loue of God your

 helpe, I had rather then forty pound I were at home.

Ol. Who has done this sir Andrew?

And. The Counts Gentleman, one Cesario: we tooke

 him for a Coward, but hee's the verie diuell, incardinate.

Du. My Gentleman Cesario?

And. Odd's lifelings heere he is: you broke my head

 for nothing, and that that I did, I was set on to do't by sir

 Toby.

Vio. Why do you speake to me, I neuer hurt you:

 you drew your sword vpon me without cause,

 But I bespake you faire, and hurt you not.

 Enter Toby and Clowne.

And. If a bloody coxcombe be a hurt, you haue hurt

 me: I thinke you set nothing by a bloody Coxecombe.

 Heere comes sir Toby halting, you shall heare more: but if

 he had not beene in drinke, hee would haue tickel'd you

 other gates then he did.

Du. How now Gentleman? how ist with you?

To. That's all one, has hurt me, and there's th'end on't:

 Sot, didst see Dicke Surgeon, sot?

Clo. O he's drunke sir Toby an houre agone: his eyes

 were set at eight i'th morning.

To. Then he's a Rogue, and a passy measures panyn: I

 hate a drunken rogue.

Ol. Away with him? Who hath made this hauocke

 with them?

And. Ile helpe you sir Toby, because we'll be drest to-

 gether.

To. Will you helpe an Asse-head, and a coxcombe, &

 a knaue: a thin fac'd knaue, a gull?

Ol. Get him to bed, and let his hurt be look'd too.

 Enter Sebastian.

Seb. I am sorry Madam I haue hurt your kinsman:

 But had it beene the brother of my blood,

 I must haue done no lesse with wit and safety.

 You throw a strange regard vpon me, and by that

 I do perceiue it hath offended you:

 Pardon me (sweet one) euen for the vowes

 We made each other, but so late ago.

Du. One face, one voice, one habit, and two persons,

 A naturall Perspectiue, that is, and is not.

 

  vnauspicious = unfavorable   becom = be fitting for   non-regardance =

     oblivon    screwes = wrenches    Minion = Darling    tender = regard  

     iocund = cheerfully    apt = ready    occasion = necessity 

     halting =  limping    tickel'd = chastised    other gates = in other ways

     Sot = Fool

 

 

ギリシア神話のエロスの神はアフロディーテの子で、ローマ神話のキューピッドと同じ、めくらめっぽうに引き絞られた運命の矢に射抜かれたらさいご、自制の利かぬエロスへの渇望となり、乱痴気騒ぎに陥るほかありません。

 

マルボーリオは担がれたのたのですが、失意の底に沈んだ公爵はここで恋の矢にブスリ射抜かれたのか、セザーリオに向かって女の衣裳を着たところを見せろと言い出します。

 

彼らは皆真剣かつ深刻に演じていて、悲劇の極み、ちょっと理解し難い、想像できないけれども、多数決民主党の無茶苦茶な権力乱用、結論ありきの国会運営、政治の私物化、嘘、フリ、良心無しのやりたい放題にこの国の人びとの寛容ぶりというか、鈍感ぶりというか、恐るべき弛緩ぶりは私には到底信じ難い、あり得ない、この緩みっぱなしの居心地の悪さからすれば、こんな恋の乱痴気騒ぎの悲劇も、近視眼的にでなく遠望すれば、極上のロマンチックコメディーに見えないであろうか。

 

ただし、恋愛感情は祝婚的雰囲気ばかりでいけない、現実の多くの段階を踏んで愛の上昇に繋ぎ、恋を愛に変容させなければならない。

 

2組の結婚に繋げるための想像力は、祭りの最終日、つまり日常の現実世界への回帰の気分を演出しなければならない、そう考えたであろうシェイクスピアらしいドラマツルギー。

 

つまり、祝祭の日にそぐわないピュリタン的堅物のマルボーリオ、道化フェステ、その他の阿呆どもの色恋沙汰が2組の結婚に無遠慮に絡まっている、彼らこそ日常の世界が漂よい始めた祝祭の最後の夜を彩る主役たり得ているのではないか。

 

理解し難い、想像できない、いや、リアリティーがある、説得力がある?

 

それぞれの登場人物の心の動きを把握して一人多役を演じ分けるのは至難の技だろうが、自分自身のざわつく心をうまく按配してメリハリある声に昇華させなければならない、人生体験と想像力が試される場面に違いない。

 

十二夜とは、クリスマスから12日目のエピファニー(Epiphany、顕現日、この日キリスト生誕に際し東方の三博士がベツレヘムを訪れたのを記念する1月6日の祭日)の夜のことです。

 

それぞれの解釈があっていいのでしょう、シェイクスピア自身この祝婚劇にわざわざ副題を付けて曰く「お気きに召すままに」(What You Will )と。

 

この副題からお祭りの無時間と刻々と時を刻む日常世界の時間を一つに寄り合わせた劇作家の意図が窺えるのです。

 

 

うちむらとしのりシェイクスピア朗読

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男装の麗人ー『十二夜』1幕5場

 

船が難破してイリリアに流れ着いたヴァイオラは、男装して身分を隠して公爵のお小姓になりすます、自分の体に合った服、靴、靴下、帽子がよく似合いう男前になって賢い道化のお気に入りに、いやお姫様にも惚れられてしまう。

 

異性装は男らしさや女らしさという意識を取り払って自由に自分を表現できるでしょう。

 

舞台を観る当時の観客も、らしさに囚われている窮屈な自分の価値観に気づき、ああ、いいなあ、解放されると感じたのではないでしょうか。

 

今日は男っぽい感じに、明日は女っぽい感じにと、その日の気分で衣服を着こなしてのびのび生きている御仁はいままでもいたし、現にいまも大勢います。

 

公爵の使いでやってきた男装のヴァイオラを一目見て、オリヴィア姫はその瞬間から異常な心理状態に陥ります。

 

 

オリヴィア どんな風に恋していらっしゃるのかしら?

ヴァイオラ 崇め憧れ、とめどなく涙を流し、

 呻き声が愛を轟かせ、溜息が火を吐くように。

オリヴィア ご主人はご存知のはず、愛することはできません

 徳高く、ご立派で、

 所領も大きく、若々しく曇りのないお方でいらっしゃいます。

 皆さんの評判もよく、自由闊達、学問があり、勇気もあり、

 体つき、身なりもよくて、

 素敵な方です。でも私は愛することはできません。

 もうとっくにお返事に納得いただいているはずです。

ヴァイオラ 私が主人のような情熱であなたに恋したら、

 あんなに苦しんで、あんなに死ぬほどの思いで。

 そんなお断わりなど、何の意味もない、

 何を仰っているのやらさっぱり。

オリヴィア まあ、じゃああなたならどうなさる?

ヴァイオラ 御門の前に柳の枝で小屋を作り、

 お屋敷のわが魂に呼びかけます、

 拒絶された恋の誠実さを旗印にして、

 真夜中にも声高にうたい届けます。

 エコーを返す山々にあなたの名を叫び、

 あたりの空気をざわめき騒がせて、

 オリヴィアと喚かせ続ける。あああなたを休ませたりしない

 この天と、地の間で、 

 私を憐れんでくださるまでは。

オリヴィア 大変なことになりそう。

 あなたはどういう素性の方?

ヴァイオラ いまの運命よりは上、だが今もまあまあ。

 紳士です。

オリヴィア ご主人にお伝えください。

 愛することはできません。もうお使いはご無用、

 でも(たぶん)あなたが来るなら別、

 返事をどうお取りになるかの報告にね。さようなら。

 ご苦労様。これをどうぞ。

ヴァイオラ 雇われているのではない、お嬢様。財布を収めて、

 私の主人のほうです、私じゃない、返礼を欠いているのは。

火打石におなりなさい、これからあなたが慕われる方の心が、

 あなたがどんなに私の主人のように恋焦がれても、

 軽蔑されますように。ご機嫌よう美しくて残酷なお方。退場

 

                   1幕5場

 

 

Ol. How does he loue me?

Vio. With adorations, fertill teares,

 With groanes that thunder loue, with sighes of fire.

Ol. Your Lord does know my mind, I cannot loue him

 Yet I suppose him vertuous, know him noble,

 Of great estate, of fresh and stainlesse youth;

 In voyces well divulg'd, free, learn'd, and valiant,

 And in dimension, and the shape of nature,

 A gracious person; But yet I cannot loue him:

 He might haue tooke his answer long ago.

Vio. If I did loue you in my masters flame,

 With such a suffring, such a deadly life:

 In your deniall, I would finde no sence,

 I would not vnderstand it.

Ol. Why, what would you?

Vio. Make me a willow Cabine at your gate,

 And call vpon my soule within the house,

 Write loyall Cantons of contemned loue,

 And sing them lowd euen in the dead of night:

 Hallow your name to the reuerberate hilles,

 And make the babling Gossip of the aire,

 Cry out Oliuia: O you should not rest

 Betweene the elements of ayre, and earth,

 But you should pittie me.

Ol. You might do much:

 What is your Parentage?

Vio. Aboue my fortunes, yet my state is well:

 I am a Gentleman.

Ol. Get you to your Lord:

 I cannot loue him: let him send no more,

 Vnlesse (perchance) you come to me againe,

 To tell me how he takes it: Fare you well:

 I thanke you for your paines: spend this for mee.

Vio. I am no feede poast, Lady; keepe your purse,

 My Master, not my selfe, lackes recompence.

 Loue make his heart of flint, that you shal loue,

 And let your feruour like my masters be,

 Plac'd in contempt: Farwell fayre crueltie. Exit

 

  fertill = ever-flowing   divulg'd =spoken   free = generous

  dimension, and the shape of nature 同義語で bodily form の意。

  flame = passion   willow 伝統的な rejected love のシンボル。

  contemned = rejected   reuerberate = eching   feede poast =

  hired messenger  

 

 

オリヴィア姫は男装の麗人ヴァイオラにうっとり、恋の病いに憑りつかれたようです。

 

男装により自由な言動を制約されているヴァイオラは、オーシーノ公爵を恋い慕うあまり、妹の恋という架空の話をでっちあげて胸に秘めた思いを伝えていたのでした。

 

この場では男らしく話して公爵の気持ちを代弁し、さらに公爵を慕う切ない女心をも込めてオリヴィアを罵倒しているのです。

 

そして、 ああ、時よ、これを解きほぐすのはお前、私ではない、こんな難しい縺れはとても私にはできないと嘆息、まもなくその時が来て、三者の関係の縺れはヴァイオラと瓜二つの兄セバスチャンの登場で大詰めを迎えます。

 

 

うちむらとしのりシェイクスピア朗読

http://shaks.jugem.jp/

 

 

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