シェイクスピア朗読

シェイクスピアについて徒然に綴るブログです
ダークレディー−ソネット106

 

 

驕り政権、権力に媚びる忖度の蔓延、国民主権の侵害、人間の尊厳棄損、猛暑続き、日に日に渇き萎んで行くいのちの気配。

 

若者たちは元気か、瑞々しいか、ロマンはあるか、男女の思慕の情は健在か。

 

かつて七五調のリズムで若者に熱狂的に受け入れられた藤村の詩集『若菜集』。

 

 まだあげ初めし前髪の林檎のもとに見えしとき

 前にさしたる花櫛の花ある君と思ひけり

 やさしく白き手をのべて林檎をわれにあたへしは
 薄紅の秋の実に人こひ初めしはじめなり

 わがこゝろなきためいきのその髪の毛にかゝるとき
 たのしき恋の盃を君が情に酌みしかな

 林檎畑の樹の下におのづからなる細道は
 誰が踏みそめしかたみぞと問ひたまふこそこひしけれ   

 

初恋、少女は12〜3歳で髪を結いあげたばかり、二人は林檎畑で出会ったのでなく幼馴染み、思いがけずこぼした溜息が相手の髪の毛に、そんな出会いを重ねてできた細い道、それを誰が踏んでできたんでしょうねと少女は問いかけたらしい。

 

少年は髪結いした少女に胸一杯だが、少女は可憐にうつむいて咲く花か、それともまだ幼さを残している少年をからかうゆとりある存在か。

 

もう一つ、牧水の作。

 

 白鳥は哀しからずや空の青海の青にも染まず漂う

 

 幾山河越えさり行かば寂しさのはてなむ国ぞ今日も旅ゆく

 

 いざ行かむ行きてまだ見ぬ山を見むこのさびしさに君は耐ふるや

 

失恋したが恨みも喪失感も呑み込んで一歩を踏み出そう、そんな思いを五七調にうたい上げたのです。

 

これらの詩が生まれた背景に君は時代の何を嗅ぎ取るだろうか。

 

16世紀後半にイタリアから導入されたソネット(sonnet、十四行詩)がロンドンで爆発的な人気を博し、シェイクスピアもソネットを書きました。

 

シェイクスピアの詩才は154篇を収めたSHAKE-SPRARES SONETS (1609 年、クオート版)に遺憾なく発揮されていることはご承知の通り。

 

友人の間に配布されたものが結果的に1609年に印刷に付されました。

 

ソネットのライムスキーム(rhyme scheme、押韻の型)は詩人によりさまざまで、シェイクスピアはa-b-a-b-c-d-c-d-e-f-e-f-g-g というように音合わせをしています。

 

  

 古い時代の年代記をひもとくと、

 このうえなく美しい人びとが描かれていて、

 その美しさが美しい韻律でうたわれ、

 亡くなった貴婦人や、眉目秀麗の騎士を称えている、 

 そこに描かれた美の最高の美を見ると、

 手、足、唇、目、眉など、

 古人のペンが描きたかったことが分かる

 いまあなたが湛える美しさを。

 彼らの賛辞はすべて予言であり、

 彼らは予言の目で見るしかなく、

 あなたの美しさをうたいあげる力はなかった。

  いまあなたをを仰ぎ見る私たちでさえ、

  讃美する目はあるが、称賛する言葉が浮かばない。 

 

               ソネット106

 

 

 WHen in the Chronicle of wasted time,

 I see discriptions of the fairest wights,

 And beautie making beautifull old rime,

 In praise of Ladies dead, and louely Knights,

 Then in the blazon of sweet beauties best,

 Of hand, of foote, of lip, of eye, of brow,

 I see their antique Pen would haue exprest,

 Euen such a beauty as you maister now.

 So all their praises are but prophesies

 And for they look'd but with deuining eyes,

 They had not still enough your worth to sing :

  For we which now behold these present dayes,

  Haue eyes to wonder, but lack toungs to praise.

 

  wasted = past   wights = people  blazon = poetic catalogue of virtue

       maister = possess   for = as   deuining = prophetic   we = even we

 

 

いかがであろうか、言葉は選び抜かれ、ライムスキームが心の琴線に触れ、胸に溢れる命の泉、いや、押韻のパターンにはなっているが思うように言葉が出て来ない、歯がゆい、じれったい、いじらしく可愛らしく美しい女性を心行くまで讃美することができない、もどかしい、腹立たしい。

 

あれもいい、これもいい、それもいいではないか、ここにあるのは青春の情熱のほとばしり。

 

相手の女性が誰なのかは分からない、ダークレディー(Dark Lady)と称されていますが、肌が黒いのではないでしょう。

 

故郷ストラトフォードには妻と子どもがいたが、ロンドンに出てきたシェイクスピアは一人の女性に出逢った、ああ君はそこにいたのかと。

 

藤村や牧水の傍らにマドンナがいたように、この女性のおかげでシェイクスピアは溢れるパッションを「時」と「恋」を主題とする十四行詩に昇華させ、英国詩のなかで最高位を占めることになったのです。

 

時代がどう動こうと自分が生きる世界の美しさを称え守ろうとする、詩人は美の基準というものを持っているのです。

 

 

うちむらとしのりシェイクスピア朗読

http://shaks.jugem.jp/

 

 

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かぶくロザリンドー『お気に召すまま』 3幕2場

 

江戸に学ぶとは、そこにどういう社会システムがはたらき、人びとがどのような思いで暮らしていたかを知ること、競争原理主義から程遠い人情、地域性、質素倹約、一点の無駄もない資源の再利用、自然保護、奉仕精神、そして大衆文化、歌舞伎、エトセトラ。

 

出雲の阿国が京都の北野神社の境内でややこ踊りという怪しげな踊りを踊ったのが歌舞伎の始まりとされていますが、このときお国は男装して妖艶、当時の大衆から熱狂的な支持を得ました。

 

シェイクスピア劇は大衆演劇であり、かぶくものぜんぶありの世界ですが、カオスではない、劇作家の思考内容ベースは部分即全体にあり、すべては傾きつつ溶け合い、ひとつながりとなり、境界なく、物事の区別も成り行きも具体的かつ明確でありながらミクロコスモスの個は森や海に融合してマクロコスモスの大気と合一する、そこに時を刻む時計はありません。

 

旅の危険から身を守るために男装して従妹のシーリアとともにアーデンの森に入ったロザリンドが偶然にも自分に恋焦がれているオーランドーに出逢う場面。

 

 

ロザリンド 小生意気な下男のふりして話しかけ、

 仮面劇を演じてやろう、もしもし森番さん。

オーランド― はいはい、何か?

ロザリンド お尋ねしますが、いま何時でしょう?

オーランドー 午前か午後かって聴いてくれなきゃ。時計が

 ないからね森には。

ロザリンド じゃあ森には恋に悩む者はいないってことか、

 1分ごとに溜息ついて、1時間おきに呻けば

 時の遅い歩みは測れるはず、時計同様。

オーランドー ならば時の速い歩みだろう?そのほうが

 まともな言い方じゃないのか?

ロザリンド そんなことはない。時の歩みはそれぞれ、

 人によりけり。いいかい時は誰それには並足、

 誰それには速足、誰それには全速力、

 そして誰それには完全停止。

オーランドー じゃあ、速足はどんな人の場合かね?

ロザリンド 若い娘だ、

 婚約と、式を挙げる日までの。

 それがほんの7日であっても、隔たりがある、

 7年の歳月が横たわっているように思える。

オーランドー 並足はどんな人?

ロザリンド ラテン語を知らない神父、でなきゃ

 痛風持ちでない金持ち。一方は気楽に眠っている

 学問できないから、もう一方は愉快に暮している、

 苦痛を感じないから。一方は不毛で無力な学問の重荷とは

 無縁。もう一方は耐え難い貧の重荷に無知。こういう人に

 時はゆっくり並足を使う。

オーランドー 速足は?

ロザリンド 絞首台に向かう泥棒。どんなに

 ゆっくり足を運ぼうが、たちまち目の前に現れる

 絞首台が。

オーランドー 完全停止は?

ロザリンド 休暇中の弁護士。裁判と裁判の間を眠って

 過ごすから、感じない。

 どれだけ時が経ったものやら。

オーランドー どこに住んでいるのお若い方?

ロザリンド この羊飼い娘の妹と一緒に。この森の

 隅っこ、ペチコートの縁飾り辺りだよ。

オーランドー 生まれたのもこの森かい?

ロザリンド ほれそこにいる兎と同じ生れついたところに。

オーランドー 物の言い方に品がある、こんな

 人里離れたところで身につけたにしては。

ロザリンド よくそう言われるよ。実を言うと、

 年老いた敬虔な叔父に言葉遣いを教えられたんだ、叔父は

 若い頃都にいて、恋の作法を心得て

 いた。恋したことがあるから。その道について

 いろいろ聴かされた、神に感謝するよ、自分が

 女でなく多くのはしたない欠点に染まらなかったことを

 叔父は男女につきものの罪を非難していた。

オーランドー 主な悪い点を覚えているかい、

 叔父さんが非難した女の悪いところ?

ロザリンド 別に主なということはない、みんな

 似たり寄ったり、半ペニー銅貨並み、どれもこれも

 ひどいもんだが、別のが現れるとそれがまたひどい。

オーランドー そのうち幾つか教えてくれないか。

ロザリンド だめだ。僕の薬は施せない、病気に

 かかっている人以外には。この森に一人いるんだよ、

 ロザリンドと木の肌に彫り込んで若木を痛めつけて

 いる男が。サンザシの枝には恋の歌、野茨には

 哀歌。どれもこれも(まったく)ロザリンドさまさま

 この色気違いに巡り合ったら、ひとつよく効く

 処方箋を授けてやろうと思ってね、どうやら

 恋は盲目って熱に罹っているらしい。

オーランドー 私だよ恋の熱に憑りつかれているのは、頼む

 君の治療法を教えてくれ。

ロザリンド 叔父の言った恋の症状が君には見当たらない。

 恋をしている男の見分け方を教えてくれたんだ。イグサの

 籠に、閉じ込められているようには見えない。

オーランドー 症状って一体どんな?

ロザリンド 頬がこける、君はこけていない。目の縁が青黒く

 落ち窪む、君はそうじゃない。むっつり口をきく気も

 しない、君はそうじゃない、髭は伸び放題、君は

 そうじゃない。(でもこれは大目に見て、ちょっぴり

 その程度なら、弟の分際としてはまあまあ)それに、

 タイツはだらしなくずり下がり、帽子には紐無く、

 袖のボタンは外れ、靴の紐はほどけ、身の周りのもの

 ぜんぶ、とっ散らかすだらしなさ。だが君は

 そうじゃない、身振りはあくまで

 折り目正しい、むしろ自分を愛している、誰かに

 恋しているようには見えない。

オ−ランドー お若いの、君には私の恋を信じてもらいたい。

ロザリンド 僕に信じろって?恋している人に

 信じてもらうほうが早い、請け合うよ、

 口には出さなくても。ここが肝心なところ、

 女は心に嘘の鎧を着せたがる。ところで

 なるほど、君だったのか詩を木に吊るして

 いたのは、ロザリンドを褒めちぎって?

オーランドー 誓うよ、ロザリンドの白い手に

 かけて、私だ、その惨めな男は。

ロザリンド でも本当に恋しているの、詩にうたっているほどに?

オーランドー 詩も理性も恋焦がれの程度を表わせない。

ロザリンド 恋は狂気だよ、だから、

 暗い小屋に閉じ込めて、鞭をくれてやればいい、気違いと同じ。

 と言ってもそんな荒治療を加えるわけにもいかない、

 恋の狂気が流行っていて、鞭打つ人も

 恋煩いにかかっているから。でも僕は助言して治しているよ。

オーランドー 誰か治してあげたのかい?

ロザリンド ああ一人、こんな風に。僕を

 自分の恋人、愛人に見立てさせてね。そして毎日

 僕を口説かせた。こっちは、気紛れな

 ものさ、嘆いたり、女々しくしたり、心変わりし、憧れ、

 好きになり、つんとしまし、衝動的、感情的、軽薄、不実、

 泣いたり、笑ったり。ありとあらゆる喜怒哀楽を見せるが、

 どれもこれも本物でじゃない、少年と女性は

 たいてい、こんな色をしたいきものだろう。好きになった

 かと思うと、嫌いになる。やさしくして、つっけんどんに

 する。涙を流したかと思うと、今度は唾を吐きかける。僕は

 あの手この手を尽くして相手の気違いじみた恋の病を、本物の

 気違いの気分に変えてやった、すると憂き世はもうこりごりと、

 人里離れた山奥に引き籠ってしまった。こんな具合にその男を

 治してやったよ、だからこの手で君の肝臓を

 ピンシャンした羊の心臓のようにきれいに洗って、恋の染み

 ひとつ残らないようにしてあげるよ。

オーランドー 治してもらいたくないね、君。

ロザリンド いや治してあげる、ただ僕をロザリンド

 呼んで、毎日僕の小屋に来て、僕を口説いてくれればいい。

オーランドー じゃあ恋の真実に賭けて、そうするよ。小屋が

 どこなのか教えてくれ。

ロザリンド ついてきな、案内するよ。

途中で、教えてもらおうか、君は森のどこに住んでいるのか。

行こうか?

オーランドー 喜んでお供しよう、お若い羊飼い殿。

ロザリンド いや、ロザリンドと呼んでくれなきゃ。さあ妹、

 行こうか?退場。

 

                                                      3幕2場  

 

 

Ros. I wil speake to him like a sawcie Lacky, and vn-

 der that habit play the knaue with him, do you hear For-rester.

Orl. Verie wel, what would you?

Ros. I pray you, what i'st a clocke?

Orl. You should aske me what time o'day: there's no

 clocke in the Forrest.

Ros. Then there is no true Louer in the Forrest, else

 sighing euerie minute, and groaning euerie houre wold

 detect the lazie foot of time, as wel as a clocke.

Orl. And why not the swift foote of time? Had not

 that bin as proper?

Ros. By no meanes sir; Time trauels in diuers paces,

 with diuers persons: Ile tel you who Time ambles with-

 all, who Time trots withal, who Time gallops withal,

 and who he stands stil withall.

Orl. I prethee, who doth he trot withal?

Ros. Marry he trots hard with a yong maid, between

 the contract of her marriage, and the day it is solemnizd:

 if the interim be but a sennight, Times pace is so hard,

 that it seemes the length of seuen yeare.

Orl. Who ambles Time withal?

Ros. With a Priest that lacks Latine, and a rich man

 that hath not the Gowt : for the one sleepes easily be-

 cause he cannot study, and the other liues merrily, be-

 cause he feeles no paine: the one lacking the burthen of

 leane and wasteful Learning; the other knowing no bur-

 then of heauie tedious penurie. These Time ambles

 withal.

Orl. Who doth he gallop withal?

Ros. With a theefe to the gallowes : for though hee

 go as softly as foot can fall, he thinkes himselfe too soon

 there.

Orl. Who staies it stil withal?

Ros. With Lawiers in the vacation: for they sleepe

 betweene Terme and Terme, and then they perceiue not

 how time moues.

Orl. Where dwel you prettie youth?

Ros. With this Shepheardesse my sister: heere in the

 skirts of the Forrest, like fringe vpon a petticoat.

Orl. Are you natiue of this place?

Ros. As the Conie that you see dwell where shee is

 kindled.

Orl. Your accent is something finer, then you could

 purchase in so remoued a dwelling.

Ros. I haue bin told so of many: but indeed, an olde

 religious Vnckle of mine taught me to speake, who was

 in his youth an inland man, one that knew Courtship too

 well: for there he fel in loue. I haue heard him read ma-

 ny Lectors against it, and I thanke God, I am not a Wo-

 man to be touch'd with so many giddie offences as hee

 hath generally tax'd their whole sex withal.

Orl. Can you remember any of the principall euils,

 that he laid to the charge of women?

Ros. There were none principal, they were all like

 one another, as halfe pence are, euerie one fault seeming

 monstrous, til his fellow-fault came to match it.

Orl. I prethee recount some of them.

Ros. No: I wil not cast away my physick, but on those

 that are sicke. There is a man haunts the Forrest, that a-

 buses our yong plants with caruing Rosalinde on their

 barkes; hangs Oades vpon Hauthornes, and Elegies on

 brambles; all (forsooth) defying the name of Rosalinde.

 If I could meet that Fancie-monger, I would giue him

 some good counsel, for he seemes to haue the Quotidian

 of Loue vpon him.

Orl. I am he that is so Loue-shak'd, I pray you tel

 me your remedie.

Ros. There is none of my Vnckles markes vpon you:

 he taught me how to know a man in loue: in which cage

 of rushes, I am sure you art not prisoner.

Orl. What were his markes?

Ros. A leane cheeke, which you haue not: a blew eie

 and sunken, which you haue not: an vnquestionable spi-

 rit, which you haue not: a beard neglected, which you

 haue not: (but I pardon you for that, for simply your ha-

 uing in beard, is a yonger brothers reuennew) then your

 hose should be vngarter'd, your bonnet vnbanded, your

 sleeue vnbutton'd, your shoo vnti'de, and euerie thing

 about you, demonstrating a carelesse desolation: but you

 are no such man; you are rather point deuice in your ac-

 coustrements, as louing your selfe, then seeming the Lo-

 uer of any other.

Orl. Faire youth, I would I could make thee beleeue I Loue.

Ros. Me beleeue it? You may assoone make her that

 you Loue beleeue it, which I warrant she is apter to do,

 then to confesse she do's: that is one of the points, in the

 which women stil giue the lie to their consciences. But

 in good sooth, are you he that hangs the verses on the

 Trees, wherein Rosalind is so admired?

Orl. I sweare to thee youth, by the white hand of

Rosalind, I am that he, that vnfortunate he.

Ros. But are you so much in loue, as your rimes speak?

Orl. Neither rime nor reason can expresse how much.

Ros: Loue is meerely a madnesse, and I tel you, de-

 serues as wel a darke house, and a whip, as madmen do:

 and the reason why they are not so punish'd and cured, is

 that the Lunacie is so ordinarie, that the whippers are in

 loue too: yet I professe curing it by counsel.

Orl. Did you euer cure any so?

Ros. Yes one, and in this manner. Hee was to ima-

 gine me his Loue, his Mistris: and I set him euerie day

 to woe me. At which time would I, being but a moonish

 youth, greeue, be effeminate, changeable, longing, and

 liking, proud, fantastical, apish, shallow, inconstant, ful

 of teares, full of smiles; for euerie passion something, and

 for no passion truly any thing, as boyes and women are

 for the most part, cattle of this colour: would now like

 him, now loath him: then entertaine him, then forswear

 him: now weepe for him, then spit at him; that I draue

 my Sutor from his mad humor of loue, to a liuing humor

 of madnes, w^c was to forsweare the ful stream of y^e world,

 and to liue in a nooke meerly Monastick: and thus I cur'd

 him, and this way wil I take vpon mee to wash your Li-

 uer as cleane as a sound sheepes heart, that there shal not

 be one spot of Loue in't.

Orl. I would not be cured, youth.

Ros. I would cure you, if you would but call me Rosa-

 lind, and come euerie day to my Coat, and woe me.

Orlan. Now by the faith of my loue, I will ; Tel me

 where it is.

Ros. Go with me to it, and Ile shew it you: and by

 the way, you shal tell me, where in the Forrest you liue:

 Wil you go?

Orl. With all my heart, good youth.

Ros. Nay, you must call mee Rosalind: Come sister,

 will you go? Exeunt.

 

  habit = disguise    detect = reveal    sennight = week  wasteful = weakening 

    penurie = poverty    softly = slowly    skirts = edges  Conie = Rabbit    

    kindled = born    purchase = acquire    dwelling = remote    Fancie-monger =

    Dealer in love    point deuice = extremely precise    sooth = truth    moonish =

    changeable    fantastical = capricious     apish = affected     draue = drove   

 

 

まだ声変わりのしない少年俳優がロザリンドを演じ、男装して、恋人を試し、自分の思いを確かめようとしているのです。

 

そんなロザリンドを見るロンドンの観客は、阿国に喝采を送った江戸町民同様、自らの内なるこだわり、こわばりを解放できたのではなかったでしょうか。

 

 

うちむらとしのりシェイクスピア朗読

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学問の戒め―『じゃじゃ馬慣らし』1幕3場

 

自然災害に見舞われっ放しで世の人びとが疲弊し切っているのに、これまでの学問の蓄積、データや知見、情報がさっぱり生かされていない。

 

災害だろうが何だろうが、もてはやされるのは権力者、強者、勝利者であり、政権与党のみなさんは、新聞も読まず、考えず、会議せず、異論を認めず、選挙で得た多数を背に品なく言いたい放題、速すぎるスピード社会のため結果にのみ心が奪われ、地道に政策プロセスを踏むことが馬鹿馬鹿しくなっているらしい。

 

うわべを繕って先を急げば不正を招き、いずれ負のスパイラルを滑走することに。

 

そもそも学ぶとはどういうことだったのか、何のための教育だったのか。

 

世界に冠たるこの国の寺子屋教育の起源は鎌倉時代に寺院で僧侶が檀家の子弟の為に行ったことが始まり。

 

武士官僚向けの儒学中心の藩校とは別に町民が寺子屋を運営するようになり、日常生活に必要な読み・書き・ソロバンを習得させる場が設けられたのです。

 

寺子屋の授業料は生活の足しになる程度の米や穀物で、教える者はボランティア。

 

幕末には女の子も寺子屋に通い、裁縫、家での躾、女の道を教わりました。

 

江戸が世界に類のない大衆文化を生み出し得たのは、町民に教育が行き渡り、平仮名と漢字が読み書きできたから。

 

寺子屋は全国に2万軒ほどあり、その数は現在の小学校の数とほぼ同数、貨幣経済が進んだ社会にあっては農夫も漁師も大工も商人も読み書きができなければ仕事ができなかったのです。

 

読む力、考える力をつけることが学びの基礎であり、言葉の向こう側を見抜く素養を身につけずして学問云々など言えたものではない。

 

『じゃじゃ馬馴らし』にこんなやりとりが。

 

 

ルーセンショー トラニオ―、見たいと憧れていた

 美しのパデュア、学芸の都、

 いまこうして実り多いロンバルディーに着いた、

 偉大なイタリーの楽園、

 父の愛情と許しを得て

 父の意向で、お前という

 信頼できる連れに恵まれ

 万事準備完了、

 一呼吸入れて、どのように学べるものか

 調べよう、知識を得る手立てを。

 真面目な市民として名立たるピザの都に、

 生れたのだ、私の父は、

 世界を股にかけた大商人。

 ヴィンセンショ―は、ペンティヴォリー家の出、

 そのヴィンセンショ―の息子は、フローレンスで育ち、

 周りの期待に応えるべく運命づけられている

 この好運を徳をもって飾り立てなければならない。 

 だからトラニオ―、さしあたり私が学ぶべきは、 

 高い徳と聖なる学問の分野

 ここに心を寄せれば、しあわせな待遇が、

 それも徳によって得られるだろう。 

 お前の考えを聞かせてくれ、ピザを出て、

  パデュアにやって来たのは、浅い水たまりを

 捨てて、深い淵に身を浸し、

 喉の渇きを癒そうと思ったからだ。

トラニオ― 失礼ながら、旦那様。

 何事も旦那様のお気持ちがそのまま私の気持ち、

 御決意どうぞそのままお続けになり、

 学問の甘き果実を召し上がりなさいませ。

 ただし(旦那様)結構とは存じますが

 徳だとか、倫理だとか、

 例のストイックとか、ストックとかはご勘弁を、

 アリストテレスのお小言に気を引かれるとか、

 オーヴィッドなんかも。きっぱりお捨てなさいませ。

 お仲間と口論なさったら、

 ありきたりなお喋りにレトリックをお効かせなさい、

 音楽と詩は、命をよみがえらせ、

 数学、形而上学は

 気が向いたらお好みのままに。

 利得生ぜず、悦び伴わざるところには。

 手身近かに申せば、好きなことを勉強なさいませ。

 

               1幕3場

 

 

Luc. Tranio, since for the great desire I had

 To see faire Padua, nurserie of Arts,

 I am arriu'd for fruitfull Lumbardie,

 The pleasant garden of great Italy,

 And by my fathers loue and leaue am arm'd

 With his good will, and thy good companie.

 My trustie seruant well approu'd in all,

 Heere let vs breath, and haply institute

 A course of Learning, and ingenious studies.

 Pisa renowned for graue Citizens

 Gaue me my being, and my father first

 A Merchant of great Trafficke through the world:

 Vincentio's come of the Bentiuolij,

 Vincentio's sonne, brough vp in Florence,  

 It shall become to serue all hopes conceiu'd

 To decke his fortune with his vertuous deedes:

 And therefore Tranio, for the time I studie,

 Vertue and that part of Philosophie

 Will I applie, that treats of happinesse,

 By vertue specially to be atchieu'd.

 Tell me thy minde, for I haue Pisa left,

 And am to Padua come, as he that leaues

 A shallow plash, to plunge him in the deepe,

 And with sacietie seekes to quench his thirst.

Tra. Me Pardonato, gentle master mine:

 I am in all affected as your selfe,

 Glad that you thus continue your resolue,

 To sucke the sweets of sweete Philosophie.

 Onely (good master) while we do admire

 This vertue, and this morall discipline,

 Let's be no Stoickes, nor no stockes I pray,

 Or so deuote to Aristotles checkes

 As Ouid; be an out-cast quite abiur'd:

 Balke Lodgicke with acquaintance that you haue,

 And practise Rhetoricke in your common talke,

 Musicke and Poesie vse, to quicken you,

 The Mathematickes, and the Metaphysickes

 Fall to them as you finde your stomacke serues you:

 No profit growes, where is no pleasure tane:

 In briefe sir, studie what you most affect.

 

  approu'd = reliable    breath = rest    ingenious = intellectual Trafficke = Business    

    become = befit    serue = fulfill  deck = adorn    plash = pool    sacietie = satiety   

    Pardonato = Pardon me     Balke Lodgicke = Bandy words    quicken = revive    

    stomacke = appetite   tane = taken

 

 

大金持ちの跡取り息子、親の七光りで、基礎的素養もない半馬鹿ボンボンの衒学的学問談義、これにトラニオ―が皮肉っぽく応じています。

 

艱難は汝を玉にするか?労多くして功少なし、闇雲に頑張って上辺を取り繕ってもどうなるものでもない。

 

好きこそものの上手なれ?興味が意欲を掻き立てることは確か、だが、オタク的興味に嵌まったらどうなるか。

 

江戸の日本は地方分権では世界一の先進国でした。

 

藩体制の地方分権が徹底して庶民のニーズを中心に行政が展開されました。

 

庶民の生活を基本とする地方政権を尊重する政治が目標でしたので、各藩は地域性を生かした経済活動を競い、藩別の行政に幕府の支配力は及びませんでした。

 

結果として、高度の貨幣経済が育ち、スペイン・イタリア・英・仏よりも栄えた世界一の先進国に。

 

明治維新政府はこれ否定、西洋化の一大要素である強国、大国化を目指して中央集権国家に、抑制された文化・規範となっていた武道を武器に変え、軍事主導体制の独善国日本を誕生させてしまったのです。

 

忘れてはいけません、江戸町民に学問を身につけさせ平和な平等社会を実現させたのは、地方分権制度と各藩の寺子屋教育だったのです。

 

都市と地方の在り方を考えれば、国家主導型の社会でなく、自立した個人の多様な声が反映される社会を目指すべきです、個人が自分の特技や体験、知識を売ることのできる生き甲斐ある社会を樹立するために。

 

システムの機能不全と超高齢化、人口減少に備えて江戸に学び、自分の特技や体験、知識を売ることのできる生き甲斐ある社会を、

各地にある小江戸的視点も含めた方法と論を束ねて大江戸学を、国家主導型の社会でなく自立した個人の多様な声が反映される社会を目指すべきではないでしょうか。

 

続持可能な循環型圏域づくり、寺子屋精神で学びの体系化、武道美に基づく礼儀作法、そして自然災害情報システムといのちの安全保障体制の確立。

 

政治家、国を守る、いのちを守ると言うが、仮想敵国への国防策などではなく、天災に翻弄される人びとに対する国防策にこそ取り組むべきでしょう。

 

知恵なく、ふりを装い、結果、結果と言い立てる国政から自治組織に至るまでの惨憺たる現状は、笑うしかない。

 

性急に何やらの学問をすすめる愚、軽佻浮薄に学問に飛びつく愚、いっとき学問の戒めを。

 

 

うちむらとしのりシェイクスピア朗読

http://shaks.jugem.jp/ 

 

 

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