シェイクスピア朗読

シェイクスピアについて徒然に綴るブログです
囲みを超えて―『ヘンリー5世』5幕2場

 

冬季五輪では日本女子の活躍が目立ちましたね。

 

メダル獲得ばかりでなく、相手国選手を思い遣り、涙と笑顔で言葉を交わし合う場面が見られました。

 

言葉も習慣も異なる者同士の気持ちの通わせ方は、特に口説き文句など、傍から見ていて滑稽かつ涙ぐましい。

『ヘンリー5世』にこんなシーンが。

 

キャサリン フランスの敵を愛することができるでしょうか?

ヘンリー そう、フランスの敵を愛することはできない、

ケート。でも私を愛してくれるなら、君は愛することになる

フランスの友人を。私はフランスを愛している、

村ひとつでも手放したくない。ぜんぶ私のものにしたい。

だからケート、フランスが私のものになれば、私は君のものになる。

君のものはフランスだから、君は私のものになる。

キャサリン 何のことだか分かりません。

ヘンリー 分からない、ケート?フランス語で話そう、私のフランス語は

舌に絡みつく、新婚の妻が夫の首にすがりついて、離れないみたいに。

  Ie quand sur le possession de Fraunce, & quand vous aues le pos-

session de moyフランスを手に入れ、あなたが私のものになると).

(ええっと、それからどう言えば?聖デニスよ助けてくれ)

Donc vostre est Fraunce, & vous estes mienneそうすれば

フランスはあなたのもの、そしてあなたは私のもの).

私にとってはずっとやさしい、ケート、王国を征服するほうが、

あれこれフランス語を話すより。あなたを動かすことはできそうにない

フランス語では、話しても笑われるだけだ。

キャサリン Sauf vostre honeur, le Francois ques vous parleis, il

& melieus que l'Anglois le quel Ie parle恐れながら、陛下の

お話になるフランス語は、私の話す英語より素晴らしいです.

ヘンリー とんでもない、ケート。あなたの話す英語と、

私の話すフランス語は、極めて出鱈目で、

とてもよく似ている。だがケート

これくらいは分かるだろう?私を愛することができますか?

キャサリン 分かりません。

ヘンリー そばにいる誰かに分からないだろうか、ケート?

聴いてみよう。さあ、あなたが私を愛していることは分かる。夜、

寝室に入ったら、尋ねるだろうこのご婦人に私のことを。

私には分かるのだ、ケート、あなたは私の性質をけなすだろう、

心から愛している人を。

だがケート、お手柔らかに頼む、穏やかな王女よ、

私は痛々しいほどに愛しているのだ。

あなたが私のものになってくれるなら、ケート、私は内心

そうなると確信している。あなたは戦利品だ、だから

必ず立派な兵士を生んでくれるだろう。

あなたと私は、聖デニスと聖ジョージの助けを借りて、

男の子をつくる、フランス人とイングランド人ハーフの、

その子はきっとコンスタンチノープルへ遠征して、トルコ王の

髭を摑む。そうしないか?返事はどうかな、わが美しの白百合の花。

キャサリン 私には分かりません。

ヘンリー 分からないか。これから分かるようになる、今は約束を。

いまは約束だけケート、努力して男の子のフランスの性質をつくると。

イングランドの半分については、王としての、男としての私の約束だ。

どう返事してくれるかな、La plus belle Katherine du monde mon trescher

& deuin Deesse(世界で一番美しいキャサリン私の愛する神聖な女神)。

キャサリン 陛下は嘘のフランス語をお話になって

フランスで最も思慮深い娘を騙そうとされています。

ヘンリー 私の嘘のフランス語はどうでもいい。名誉にかけて

真実の英語で、愛しているよケート。その名誉にかけて、私は

あなたも愛してくれているとは言わないが、本能が囁き始めた、

あなたも私を愛してくれていると。お粗末な

女には好かれない顔をしているが。いまじゃいまいましい

私の父の野心が、父は内乱のことばかり考えていた

私が生まれた頃には、だから私は生まれてしまったのだ

いかつい顔つきをして、鉄面皮で、

口説こうとしても、相手を脅してしまう。正直言ってケート

年をとれば、もっとやさしく見えるようになる。慰めは、

老齢が、美を壊して行くが、この顔をこれ以上

醜くはできない。夫にするなら、もしあなたが私を夫にするなら、

最悪の状態で。妻になってくれ、もし私の妻になってくれるなら、

これからはよくなる一方だ。だから言ってくれ、美しい

キャサリンよ、受け入れてくれないか?乙女の恥じらいを捨てて。

心の思いを宣言してくれ

女帝のやり方で、手をとって、言ってくれ、イングランド王

ハリー、私はあなたのものだと。その言葉で私は

祝福され、あなたに明言する、イングランドはあなたのもの、

アイルランドもあなたのもの、フランスもあなたのもの、ヘンリー

プランタジネットもあなたのものだ。私は、王の面前で宣言するが、

たとえ最良の王と同列でなくても、

善良な人びとの最良の王になってみせる。さあ

片言の英語でいい。すべての者の女王、キャサリン、

心を破って破れた英語で言ってくれ。あなたは

私を受け入れてくれますか?

キャサリン それはde Roy mon pere(私の父王)の意志によって。

ヘンリー もちろん、お父上の意志です、ケート。お父上の意志

なんですよ、ケート

キャサリン それなら私もよろしいです。

ヘンリー それを聴いてあなたの手にキスを、そしてあなたを

  王妃と呼びます。

キャサリン Laisse mon Seigneur, laisse, laisse, may foy: Ie ne

   veus point que vous abbaisse vostre grandeus, en baisant le

   main d'une nostre Seigneur indignie seruiteur excuse moy. Ie

   vous supplie mon tres-puissant Seigneu(陛下放して、放して、放して、

 ほんとうに。召使いの手にベイゼなど、  尊厳をなくされては。お許しを).

ヘンリー ではあなたの唇にキスを、ケート

キャサリン Les Dames & Damoisels pour estre baisee deuant

leur nopcese il net pas le costume de Fraunce(女の人が

結婚前にベイゼされるのはフランスの習慣ではありません).

ヘンリー ご婦人、わたしの通訳さん、何て言っているんですか?

婦人 それは習慣ではありませんフランスのご婦人方にとっては。

ベイゼは英語で何というのか分かりません。

ヘンリー キス。フランスでは娘たちにとって習慣ではない

結婚前にキスするのは、と言っているのかね?

婦人 Ouy verayment(はいその通りです).

ヘンリー ああケート、厳格な習慣は偉大な王には呪いになる。

ケート、あなたも私も閉じ込められていてはいけない

一つの国の習慣というひ弱な囲みのなかに。我々が

礼儀作法をつくるのだ、ケート。この場にふさわしい

自由が、あなたのあら捜しの口を塞いで、こう

やって、あなたの国の気難しい習慣を確認

する、あなたが私のキスを拒んでも。だから我慢して、

負けなさい。あなたの唇の甘い感触のほうがずっと雄弁だ、

フランスの高官どもの言葉より。

あっと言う間にイングランドのハリーを説得する、

 王たちの総嘆願よりも。来られたようだ

 お父上が。

 

                  5幕2場

 

 

Kath. Is it possible dat I sould loue de ennemie of Fraunce?

King. No, it is not possible you should loue the Enemie

 of France, Kate; but in louing me, you should loue

 the Friend of France: for I loue France so well, that I

 will not part with a Village of it; I will haue it all mine:

 and Kate, when France is mine, and I am yours; then yours

 is France, and you are mine.

Kath. I cannot tell wat is dat.

King. No, Kate? I will tell thee in French, which I am

 sure will hang vpon my tongue, like a new-married Wife

 about her Husbands Necke, hardly to be shooke off; Ie

 quand sur le possession de Fraunce, & quand vous aues le pos-

 session de moy. (Let mee see, what then? Saint Dennis bee

 my speede) Donc vostre est Fraunce, & vous estes mienne.

 It is as easie for me, Kate, to conquer the Kingdome, as to

 speake so much more French: I shall neuer moue thee in

 French, vnlesse it be to laugh at me.

Kath. Sauf vostre honeur, le Francois ques vous parleis, il

 & melieus que l'Anglois le quel Ie parle.

King. No faith is't not, Kate: but thy speaking of

 my Tongue, and I thine, most truely falsely, must

 needes be graunted to be much at one. But Kate, doo'st

 thou vnderstand thus much English? Canst thou loue

 mee?

Kath. I cannot tell.

King. Can any of your Neighbours tell, Kate? Ile 

 aske them. Come, I know thou louest me: and at night,

 when you come into your Closet, you'le question this

 Gentlewoman about me; and I know, Kate, you will to

 her disprayse those parts in me, that you loue with your

 heart: but good Kate, mocke me mercifully, the rather

 gentle Princesse, because I loue thee cruelly. If euer thou

 beest mine, Kate, as I haue a sauing Faith within me tells

 me thou shalt; I get thee with skambling, and thou

 must therefore needes proue a good Souldier-breeder:

 Shall not thou and I, betweene Saint Dennis and Saint

 George, compound a Boy, halfe French halfe English,

 that shall goe to Constantinople, and take the Turke by

 the Beard. Shall wee not? what say'st thou, my faire

 Flower-de-Luce.

Kate. I doe not know dat.

King. No: 'tis hereafter to know, but now to promise:

 doe but now promise Kate, you will endeauour for your

 French part of such a Boy; and for my English moytie,

 take the Word of a King, and a Batcheler. How answer

 you, La plus belle Katherine du monde mon trescher & deuin

 deesse.

Kath. Your Maiestee aue fause Frenche enough to

 deceiue de most sage Damoiseil dat is en Fraunce.

King. Now fye vpon my false French: by mine Honor

 in true English, I loue thee Kate; by which Honor, I dare

 not sweare thou louest me, yet my blood begins to flat-

 ter me, that thou doo'st; notwithstanding the poore and

 vntempering effect of my Visage. Now beshrew my

 Fathers Ambition, hee was thinking of Ciuill Warres

 when hee got me, therefore was I created with a stub-

 borne out-side, with an aspect of Iron, that when I come

 to wooe Ladyes, I fright them: but in faith Kate, the el-

 der I wax, the better I shall appeare. My comfort is, that

 Old Age, that ill layer vp of Beautie, can doe no more

 spoyle vpon my Face. Thou hast me, if thou hast me, at

 the worst; and thou shalt weare me, if thou weare me,

 better and better: and therefore tell me, most faire Ka- 

 therine, will you haue me? Put off your Maiden Blushes,

 auouch the Thoughts of your Heart with the Lookes of

 an Empresse, take me by the Hand, and say, Harry of

 England, I am thine: which Word thou shalt no sooner

 blesse mine Eare withall, but I will tell thee alowd, Eng-

 land is thine, Ireland is thine, France is thine, and Henry

 Plantaginet is thine; who, though I speake it before his

 Face, if he be not Fellow with the best King, thou shalt

 finde the best King of Good-fellowes. Come your An-

 thy English broken: Therefore Queene of all, Katherine,

 breake thy minde to me in broken English; wilt thou

 haue me?

Kath. Dat is as it shall please de Roy mon pere. 

King. Nay, it will please him well, Kate; it shall please

 him, Kate.

Kath. Den it sall also content me.

King. Vpon that I kisse your Hand, and I call you my

 Queene.

Kath. Laisse mon Seigneur, laisse, laisse, may foy: Ie ne

 veus point que vous abbaisse vostre grandeus, en baisant le

 main d'une nostre Seigneur indignie seruiteur excuse moy. Ie

 vous supplie mon tres-puissant Seigneur.

King. Then I will kisse your Lippes, Kate.

Kath. Les Dames & Damoisels pour estre baisee deuant

 leur nopcese il net pas le costume de Fraunce.

King. Madame, my Interpreter, what sayes shee?

Lady. Dat it is not be de fashon pour le Ladies of

 Fraunce; I cannot tell wat is buisse en Anglish.

King. To kisse.

 It is not a fashion for the Maids in Fraunce to

 kisse before they are marryed, would she say?

Lady. Ouy verayment.

King. O Kate, nice Customes cursie to great Kings.

 Deare Kate, you and I cannot bee confin'd within the

 weake Lyst of a Countreyes fashion: wee are the ma-

 kers of Manners, Kate; and the libertie that followes 

 our Places, stoppes the mouth of all finde-faults, as I

 will doe yours, for vpholding the nice fashion of your

 Countrey, in denying me a Kisse: therefore patiently,

 and yeelding. You haue Witch-craft in your Lippes,

 Kate: there is more eloquence in a Sugar touch of

 them, then in the Tongues of the French Councell; and

 they should sooner perswade Harry of England, then a

 generall Petition of Monarchs. Heere comes your

    Father.

 

  moue = persuade    parts = qualities    skambling(= scrambling)= fightimg

  Saint Dennis and Saint George = Patron saints of France and England

  Flower-de-Luce フランスの国家紋章    moytie = half  Damoiseil = Maiden

  blood = instinct  beshrew = curse    layer vp = preserve

  buisse = kiss    nice = fastidious     Lyst = Barrier

 

 

ハリーは本能が囁くままに誠実に口説いているんでしょうが、tongue のほかに custom、fashion、manner が頻出して、フランスの厳格な習慣が呪いに。

 

あなたも私も一つの国の習慣というひ弱な囲みのなかに閉じ込められていてはいけない、二人で新しい礼儀作法をつくろう、その場にふさわしい自由な雰囲気のなかで、ハリーはそう言ってキャサリンにベイゼしました、天晴れ。

 

シェイクスピアの時代、英国にフランス趣味はありましたが、フランスには英国趣味はありませんでした。

 

 

うちむらとしのりシェイクスピア朗読

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| - | 13:42 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
メタファー−『十二夜』2幕4場

 

北で軍事パレードがあり南で冬の平和の祭典が始まり違和を禁じ得ないが、遠い昔もこんな風景があって、古代オリンピックも休戦状態で祭典をやっていたらしい。

 

北朝鮮の鳴り物入りの代表団と美女応援団派遣を見て、韓国内でこれでは平昌(ピンチョン)でなく平城(ピョンナン)オリンピックだと慨嘆する声も上がっています。

 

〜みたいというたとえはよく使われる表現技法で、暗喩(metapher)と言います。

 

比喩表現を一つのシーンに入れることもあります。

 

シーンがつながり、まとまって、一つの物語を構成することになりますから、物語の主題をメタファーとも。

 

シェイクスピアは楽しくなるようなあるいは悲しくなるような音楽を多用しますが、基本的には声と動きだけを頼りにして劇空間をつくり、随所に演劇でしか達成できないような比喩表現を用います。

 

男装の女性が名を変えて密かに愛する男性に自分の姉(実は自分自身)に託してたとえ話で切々と訴える『十二夜』のシーン。

 

 

公爵 他の者も引き下がってくれ。もう一度頼むシザーリオ

 例のこの上なく残酷なあの人のところへ行ってくれ。

 私の愛をこう伝えるのだ、世間並みの俗な愛ではない

 財産や領地の有無など問題ではない、

 運命が与えたものなど。

 こう伝えるのだ運命の女神だと思っていると。

 いや奇跡だ、宝石の女王だ

 自然が飾る、私の魂はそこに惹かれていると。

ヴァイオラ でも愛せないと言われたら。
公爵 そんな答えは受け取れない。

ヴァイオラ そんな受け取らなきゃ。

 たとえばある女が、いるとして、

 旦那様への愛のために苦しんでいる

 旦那様がオリビア様を愛するように。でも旦那様は愛せない。

 そう言う。そしたら受け取らないわけにはいかないでしょ?
公爵 女の脇腹など

 強い熱情の鼓動に耐えられない、

 愛が私の心臓にもたらすようには。女の心臓は

 大きくない、多くのものを入れるほどには、収容力がない。

 ああ、女の愛は食欲のようなもの、

 肝臓の働きじゃない、味覚と同じ、

 食い過ぎて、飽きて、吐き気をもよおす、

 ところが私の愛は海のように飢えている、

 消化する力も海のようだ、比べないでくれ 

 どこかの女が私に抱く愛と、

 私がオリヴィアに抱く愛を。

ヴァイオラ でも知っているんですよ。
公爵 何をだ?
ヴァイオラ 女が男に抱く愛がどのようなものか。

 決して心変わりはしない、私たち男に。

私の父に娘がいてある男を愛するようになりました

それはたぶん、私が女なら

旦那様をお慕いするような愛だったんでしょう。

公爵 どうなったその娘は?

ヴァイオラ 白紙のままですよ旦那様。誰にも恋を打ち明けないで、

 隠し続けて花の蕾に巣くう虫のように

 薔薇色の頬を色褪せさせてしまいました。恋の思いにやつれて、

 蒼ざめた憂いを胸に、

 記念碑の忍耐の像のように座っていた、

 悲しみに微笑みかけて。これがほんとうの恋でしょ?

 私たち男はやたらと言葉を出し、誓いを立てる、でもそれは

 意志に反する見せかけだけ。いつだって男は

 誓いはたっぷり、愛はちょっぴりなのだ。

公爵 でお前の姉は恋患いで死んだのか?

ヴァイオラ 父の娘はこの私、

男の兄弟も。よく分からないけど。

あの、お嬢様のところに行ってきましょうか?

公爵 それが問題だった、

急いで行ってくれ。この指輪を渡して。こう言うのだ、

私の愛は一歩も譲れない、お断りは受け取れませんと。

 

                 2幕4場

 

 

Du. Let all the rest giue place: Once more Cesario,

 Get thee to yond same soueraigne crueltie:

 Tell her my loue, more noble then the world

 Prizes not quantitie of dirtie lands,

 The parts that fortune hath bestow'd vpon her:

 Tell her I hold as giddily as Fortune:

 But 'tis that miracle, and Queene of Iems

 That nature prankes her in, attracts my soule.

Vio. But if she cannot loue you sir.

Du. It cannot be so answer'd.

Vio. Sooth but you must.

 Say that some Lady, as perhappes there is,

 Hath for your loue as great a pang of heart

 As you haue for Oliuia: you cannot loue her:

 You tel her so: Must she not then be answer'd?

Du. There is no womans sides

 Can bide the beating of so strong a passion,

 As loue doth giue my heart: no womans heart

 So bigge, to hold so much, they lacke retention.

 Alas, their loue may be call'd appetite,

 No motion of the Liuer, but the Pallat,

 That suffer surfet, cloyment, and reuolt,

 But mine is all as hungry as the Sea,

 And can digest as much, make no compare

 Betweene that loue a woman can beare me,

 And that I owe Oliuia.

Vio. I but I know.

Du. What dost thou knowe?
Vio. Too well what loue women to men may owe:

 In faith they are as true of heart, as we.

 My Father had a daughter lou'd a man

 As it might be perhaps, were I a woman

 I should your Lordship.

Du. And what's her history?

Vio. A blanke my Lord: she neuer told her loue,

 But let concealment like a worme i'th budde

 Feede on her damaske cheeke: she pin'd in thought,

 And with a greene and yellow melancholly,

 She sate like Patience on a Monument,

 Smiling at greefe. Was not this loue indeede?

 We men may say more, sweare more, but indeed

 Our shewes are more then will: for still we proue

 Much in our vowes, but little in our loue.

Du. But di'de thy sister of her loue my Boy?

Vio. I am all the daughters of my Fathers house,

 And all the brothers too: and yet I know not.

 Sir, shall I to this Lady?

Du. I that's the Theame,

 To her in haste: giue her this Iewell: say,

 My loue can giue no place, bide no denay.

 

 parts = possessions 運命の女神が与えた地位や財産。   prankes = adorns  

 Sooth = In truth   sides 脇腹   bide = withstand    retention = constancy 

 Pallat = Palate      Liuer  肝臓は愛の宿るところと考えられていた。

 cloyment = satiety     reuolt = revulsion     owe = have for

 

 

娘であり双子の兄妹であるヴァイオラは曖昧に答えるしかありません。

 

自分がその娘なのだと言いたいのですが、言えない。

 

兄のセバスチャンは生きているかもしれないのでこのように曖昧に答えるしかないのです。

 

そんなヴァイオラのたとえ話は物悲しいが、注目すべきは言葉の特異な演劇的効果、ヴァイオラは公爵に伝わるはずのない愛を告白しているだけではないのです。

 

実際に舞台に立ちつくしている自分自身の姿を自分の言葉によって形象化している、つまりせりふの声とイメージがそのままヴァイオラの姿に投影され、その立ち姿はそのまま虫に食い荒らされる薔薇であり、悲しみに微笑んで耐えている忍耐の石像そのものを映し出しているのです。

 

 

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| - | 08:09 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
掘っ立て小屋―『リア王』3幕2場

 

昭和30年(2018年)、あけましておめでとうございます。

 

小寒が5日、大寒が20日で、まだしばらく寒さが続き、布団からさっと出にくくなっていますが、それでも少しづつ日は長くなってきていますね。

 

昨年は天下取りのあっと驚く術策がたったのひと一言であっさりひっくり返ったりして、あらためて言葉の恐ろしさを思い知らされました。

 

大相撲を含めてスポーツ界も Might is right(勝てば官軍)になって、こんなことでいいのかというちょっとお寒い気分混じりで越年。

 

空っ風の吹く寒い夜は、寒さを凌ぐことのできる場と身を包む衣類が必要、どうしてもなくてはならないのはこの二つくらいのものなんでしょうね。

 

リアの怒りと憎悪は、必要と思われた王の称号と供の騎士が満たされないために上の娘2人にはね返り、拡大され、増幅されて、その乱反射に身を晒して怒りと憎悪で気も狂わんばかりになります。 

 

 

リア 頭が変になりそうだ。

 おい阿呆。どうだお前さんは?寒いか?

 わしは寒い。その藁床はどこにある、え?

 貧乏ってやつは不思議なもんだな、

 卑しいものを尊いものに変えてくれる。さ、小屋だ。

 哀れな阿呆、よなあ、わしにも憐れみはある

 気の毒なやつだ。

道化 頭に知恵の足りない奴は、

 こりゃこりゃ、風吹き雨が降る、

 運が悪いと諦めな、

 毎日が雨降りでもさ。

リア そうだな。さ、その小屋に。

 

              3幕2場

 

 

Lear. My wits begin to turne.

 Come on my boy. How dost my boy? Art cold?

 I am cold my selfe. Where is this straw, my Fellow?

 The Art of our Necessities is strange,

 And can make vilde things precious. Come, your Houel;

 Poore Foole, and Knaue, I haue one part in my heart

 That's sorry yet for thee.

Foole. He that has and a little-tyne wit,

 With heigh-ho, the Winde and the Raine,

 Must make content with his Fortunes fit,

 Though the Raine it raineth euery day.

Le. True Boy: Come bring vs to this Houell.

 

  Art  i.e.Skill, Alchemy      vilde = vile    Knaue = Boy

    wit = sense  

  

 

荒野で雷雨に打たれれば、背に腹は代えられない。

 

いままで固く囲われた屋敷のなかで、周囲から凄いの、偉いの、立派だのと言われてプライドを持って生きてきた、自分以外のことばかり気にかけ、他人からどう評価されるかという基準で生きてきた、そのリアが嵐の荒野でプライドも固い枠も価値基準もすべて剥がされてしまった直後の自問であり述懐です。

 

身も心も冷えるから掘っ立て小屋に入って休みたい、いま自分に必要なのは雨風を凌ぐことのできる場であるという現実認識、自分の冷えた人生、狂い死にしそうなわが身から絞り出される嘘偽りのない声、抗いようのない現実を前にしてリアは気づいたのです

 

不足を嘆くばかりでは命は守れない、貧乏は不思議なものだ、卑しいものを尊いものに変えてくれる。

 

雨風の難を逃れる道筋を照らす歌、雨風を凌ぐためには雨風に向かって吠えるのでなく、ボロい掘っ立て小屋をありがたいと思うだけの話なのです。

 

たったこれだけの一瞬の気付きに過ぎませんが、ざわつく心もおさまり、自分を悪しざまに言う道化への同情心も芽生え、リアにとって大きな開眼となったのです。

 

生きて行く上で必要なのは自分の人生、自分の命に対する責任だけなのです。

 

何があっても、どんな場に置かれても、失ってならないものを大事にしていい年を迎えましょう。 

 

 

うちむらとしのりシェイクスピア朗読                            
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