シェイクスピア朗読

シェイクスピアについて徒然に綴るブログです
感じたままを語り合おう

 

コウモリ由来のウイルスが人から人へ感染を拡大して、国を越え、地域を越えて、あっという間に全地球を覆う事態となりました。

私たちはいま日常的に身の危険に晒されています。 

火山の爆発、地震、津波、温暖化、生態系の破壊、水と土壌汚染、緑の喪失、社会保障、安全保障問題もぜんぶひっくるめて、これら世界共通の課題を背負って私たちは身近な暮らしのなかで何が一番大切かを問い直しさせられています。

 

森林伐採が続いて温暖化が加速し、千葉県館山の波左間沖合の岩礁のテーブルサンゴが60センチに成長したという、サンゴが沖縄でなく房総沖でしっかり育っているのです。

 

氷河も溶けて、早晩、氷の下に眠っている未知の微生物やウイルスが飛び出してきて、渡り鳥に感染し、感染を繰り返して変異し、人に感染するという事態も想定されますが、国はそこまでは考えていない、いまがこの体たらくなのですから。

 

言うべきことばかり言い募り、感じたままに言うことができない、習近平がどうとか、オリンピックがどうとかと先の結果に合わせて辻褄を合わせる政府、ウイルス感染の拡大が環境破壊、地球温暖化と深くかかわっているという認識はない、現場感覚がまるでない、医療現場を知らない、介護現場を知らない、教育現場を知らない、現実を知らず過去からも学ぼうとしない、何でも征服して打ち勝つことができると考える、非常事態のさ中でも収束した経済のV字回復だとか、緊急事態条項を憲法に入れるなどと言う、世界が一変しつつあるというのに。

 

人間の営みがウイルスを広げるということには思い及ばないから、どなたかが言っておられたように、この国のコロナ対策は周回遅れなのです、昨年末に武漢から悲痛な告発の声が上がり、怖ろしい映像が相次いで発信されていたにもかかわらず。

 

情報収集を怠り、あるいは収集しても隠しているために、保健所も病院も防疫体制を組めない、そんな政府のトップが一体何を指示できるか、国民の命を守るなどできる筈がない。

 

医療崩壊が現実に起こってしまったいま、この身は自分で守るしかない。

 

感染からどう自分を守り、いかに生き延びるかなけなしの動物的本能をはたらかせて、見えないウイルスの動きを察知して、感じたままに行動するしかありません。

 

埼玉県で、感染者の男性二人が、政府の言いなりに自宅療養していたら、相次いで亡くなってしまいました。

 

これを受けて大野元裕知事は自宅療養でなく宿泊施設に移ってもらうと即断、即断しなければいけないのです、本能的に行動できなければ命を落としてしまう。

 

国民の命を守る対策を急ぐのが政治家の使命なのに、医療現場からの報告には息を呑むことばかり、何もかも不足していたのです。

 

私の住んでいるマンションの近くにふじみの救急クリニックという医療施設があり、そこでは駐車場に椅子を並べたりして必死にPCR検査を行なっている、その様子が昨夜NHKで紹介されて、鹿野晃院長は国・自治体に対して医療崩壊を防ぐ対策をと訴えておられた。

 

地球上で一番の親日国台湾は、あの激しい総統選のさ中でもしっかり対策していました。

 

台湾政府は感じたままに政治を機能させ、即応体制を敷いていたのです、SARSのときの教訓を忘れずに。

 

日本政府は、香港や台湾のように中国に目を向けるが、そのままあるがままにでなく経済関係にのみ関心を向けるから判断を誤ってしまう。

 

ウイルス対策のお粗末さによって不安にかられた多くの人びとは、マスクを求めて薬局前に行列を組んで並び、スーパーであれこれ買い漁り、備蓄した挙句、すべて重荷になって、息苦しくなり、疲れて、フレイル状態になってしまった。

 

過剰な情報を精査できなくなってバランスを失い、恐怖のあまり引き籠り、かと思うと、何かやっていないと不安でたまらなくなり、ちょっと熱を出しただけでうろたえて病院に駆け込み、あれに手を出し、これに手を出し、弁天の森の遊歩道をマスクなしでハーハー息せき切って走ってみたり、スーパーや公園で密状態になったりする。

 

いま何が不要か、暮らしに最低限必要なものは何か、何が無意味か、余計か、じっくり見極める余裕が全くない、長生きなどできやしない。

 

フランスを見よ、ちまちまとあれをやりこれをやったりはしない、9月まで大学は休校、何もなし、人間の質が違う、大人の判断ができる、何が必要で、何が自主・自立・主体的な人間に育てるかをちゃんと心得ています。

日本はどうか、テレワークだとか遠隔授業だとか、できそうもないことばかりやらせて、教師も学生も疲労困憊しているのではないか。

私たちはいつの間にか上からの知恵足らずの統制に素直に従い、動けば動いた分だけ余計なことをして感染防止という名の感染拡大に手を貸し、見える化とかいう名のコロナデータ待ちの指示待ち族になって、コロナ鬱を発症し、運が悪いと遺体となってカウントされかねないありさま。

リアとコーディ―リアの遺体ばかりでなく、ゴネリルとリーガン、エドマンド、グロスターの遺体が並び、みんな死んでしまった舞台の幕切れ、生き残ったエドガーが言っています、「この悲しい時代の重荷は我々が負わなければならない、感じたままを語り合おう、言うべきことを語るのでなく(The waight of this sad time we must obey,/Speake what we feele, not what we ought to say)と。

 

400年前の英国は宗教戦争とペストと外敵の恐怖に晒されていたのです。

ロンドンは不衛生極まる都会で、上から汚物が無造作に街路に投げ捨てられ、そこを鼠が走りまわっていました。

ぺストが蔓延し、夥しい人が亡くなりました。

路上にはそれら遺体とともに足枷をはめられた泥棒や人殺しが晒しものになっていました。

タイバーンで公開斬首された政治犯やカトリック信奉者の生首がロンドン橋に掲げられていました。

エリザベス女王は刺客に狙われており、いつ襲ってくるか分からないスペインの恐怖がありました。

そんな状況下で、人びとは何とか前を向いて暮らしていたのです。

 

奮起したシェイクスピアは、国が何とかしてくれるだろうなどとは露ほどにも考えなかった、劇場はペストを広げる悪魔の巣窟と呼んでいたロンドン市に期待するものは何もありませんでした。

 

自分はいま何を求めているか、何が必要か、いま一番欲しいものを自分に与え、他人にも与えよう、自分の感じたままに行動しようと即断して、劇場閉鎖時にはソネットや長編詩を書きまくっていたのです。

 

まずは心拍数を整え、呼吸を整え、手足を動かし、もの触れたり、何かを感じたりできることをやろう、心身を丸く整え、身体ぜんたいで反応できるような思いっ切り楽しめることを身体全体を使って感じ取ろう、都会の過密空間に身を置く自分の中心軸を探りながら、何か突拍子もなく面白く新奇なものに挑戦しなきゃ、そんな芸術する心を沸き立たせるものを。

 

視野を広げ、自分を変え、他人も変えられる事業を興そう、演じる者も観る者も心底楽しめる大衆演劇で行こうと

 

隙間だらけの田舎から騒々しい過密状態のロンドンンに出てきて、持ち前の田舎育ちの野生動物的察知能力と構想力を頼りに、いまのロンドンの暮らしそのものを面白く可笑しく演出して生き延びてみせるぞと。

 

流行のグローブ(地球)を旗印にして、この世は人でなく自然の摂理に支配されている、世界の隅々までみんな一つに繋がっている、生命と生命は繋がっている、閉ざされた個人としては生きて行けない、生き物としての生得的な反応の形式にまかせて集団性に、関係性に生きるしかない、そんなことを学び遊びながら公演できたら、みんな呵々大笑となれるんじゃないか、シェイクスピアはそんな風にを考えていたに違いありません。

 

しかし、どうなのか、自粛自粛で誰もいなくなった都会の街路の風景を見せつけられると、人との接触を避け、人間の活動を抑えることが何よりの持続的対策とされるいま、大都会は厳しい行動規制が続き、経済活動が停止し、もはや前と同じ生活には戻れないのではないか、第2波が襲ってきて、第3波も襲ってきて、都会はあっと言う間に閑散とした森林に戻ってしまうのではないか、そんな妄想も。

 

人間活動が地球環境に与えている負荷を考えると、都会も人も確実に壊れてきているのです、けれども、座して文明の死を待つわけには行かない、注意深く変化を見極め、私たちは大きく変わって行かなければなりません。

 

日本人は変化に及び腰で、抵抗感すら感じるのが常だけれども、今回はそうは行かない、ウイルスを引っ張り出したのは、過剰な、抑制の利かない、人間活動そのものなのですから。

 

災厄の根っこの部分を見直すには、国民一丸となって競争に勝つ、コロナに打ち勝つなどと言うべきことを言わない、動物的本能を従って感じたままを語りながら、競争原理に基づく人間活動を減らして行くしかありません。

 

競争社会から受けるストレスと不幸と矛盾を払拭する価値観がどのようなものであるかは、すでに私たちは気づいているのです。

 

笑いに満ちた地球環境を。

 

笑うことによって私たちは免疫力を高めることができます。

 

好きな物を食べ、好きな人と過ごし、過ごせなければ、好きな人と過ごしたあの日あの時を思い出して笑顔になりましょう。

 

みなさん、心から呵々大笑できる生き方を、自粛しながら人と人との新たな関係を、集団活動の在り方を、新しい価値の創出に工夫を凝らしましょう。

 

今日はみどりの日、明日は立夏、公園で陽を浴びながら運動を、運動に勝る薬はないそうですよ、運動器具は感染症を広げない使い方を守って。(2020.5.4)

 

 

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| - | 05:45 | comments(2) | - | pookmark |
備えあれば憂いなしー『ヘンリー4世』第1部1幕2場

 

桜が散り、雪が降り、雨が降り、晴れて、曇って、光と影がコントラストを強めて、日が慌ただしく過ぎて、オリンピックは1年後に新型コロナウイルスに打ち勝った証しとして開催されることに、この1年で世界中を集団免疫の状態にもって行けなければ開催は中止、たぶん、再延期はあり得ません。

 

コロナ騒ぎで私たちの生活は一変、巣籠もりし、体調を崩し、悲観的、否定的になり、不安、焦燥感から血管硬化症、低体温症になて、コロナ鬱に。

 

フィレイル状態に陥りかねないいまの状況を生き抜く上で知っておきたいのがホメオスタシス(homeostasis)、外部環境がどんなに変わろうとも体内環境を安定させておけばウィルスに感染してもへっちゃら、そんなシステムの可能性に賭ける以外にありません。

 

コロナ情報を追いかけてばかりいてはいけないのです、外に出て運動を、自分はいまこういう自粛を余儀なくされているが、それでも自分軸で自分の行動原理で生きる、そう決意すればそうなるようにシステムが応えてくれます。

 

 

Prin. I know you all, and will a-while vphold

 The vnyoak'd humor of your idlenesse:
 Yet heerein will I imitate the Sunne,
 Who doth permit the base contagious cloudes
 To smother vp his Beauty from the world,
 That when he please againe to be himselfe,
 Being wanted, he may be more wondred at,
 By breaking through the foule and vgly mists
 Of vapours, that did seeme to strangle him.
 If all the yeare were playing holidaies,
 To sport, would be as tedious as to worke;  

 But when they seldome come, they wisht-for come,

 And nothing pleaseth but rare accidents.  

 So when this loose behauiour I throw off,

 And pay the debt I neuer promised;

 By how much better then my word I am,
 By so much shall I falsifie mens hopes,
 And like bright Mettall on a sullen ground:
 My reformation glittering o're my fault,
 Shall shew more goodly, and attract more eyes,
 Then that which hath no foyle to set it off.
 Ile so offend, to make offence a skill,
 Redeeming time, when men thinke least I will.
  vnyoak'd humor = unbridled whims     
  contagious = disease-carrying      skill = art
                                                      1.2.

 

王子 お前さんたちのことは先刻承知、当分は

 抑えの利かないきまぐれに手を貸すさ。

 だがここで私がなろうとしているのは太陽、

 汚いばい菌を撒き散らす雲で覆われて

 この世から光が消されていても、 

 ひとたび本来の姿に立ち戻ろうと思えば、

 待たれているから、一層驚きの目で、仰ぎ見られる。

 いっとき覆い隠したかに見えた醜い暗雲を、

 たちまち押し破って躍り出る。

 世間がひたすらに待ち焦がれていただけに、

 1年の毎日が、言わば旗日で休み続きというのでは、

 遊ぶのも、働くのと同じ退屈なものになってしまう。

 滅多にやって来ない日だから、強く待ち望まれる。

 稀にしか起こらないことほど楽しいものはあるまい。 

 それと同じでいまの気儘な暮らしをぷっつりやめ、

 約束もしていない借金を返してやろう。

 それも約定以上のものを返せばどうなるか、

 受ける側に手を加えてたんまり返してやれば、

 鈍い地金に嵌め込まれて輝く黄金ってものだろう。 

 私の改心が輝くのはいまのぐうたらあればこそ、

 一際目立ち、人の目を引き付ける、

 嵌め込まれた金の薄板なんかであるものか。

 慣習に違反して、わざわざいやがることをしてやる、

 時間を取り戻して、みんばがまさかと思うときに。 

 

 

ヘンリー4世の息子(son)は、いずれ太陽(sun)になるときに備えてこの世のありようを学んでいるのです。

 

いまは自粛し3密を避けて暮らさなければなりませんが、運動して自律神経・内分泌・免疫の三つのシステムを機能させ、気持ちを明るく溌剌とした状態に保てれば、いずれ太陽に。

 

運動すれば自律神経と内分泌腺、交感神経が刺激されてホルモンが分泌され、脳・体温・血管・血流・骨・筋力のバランスが整い、呼吸・心拍・血圧・体温・発汗を促して、身体は戦闘モードに切り替わります。

 

咳やくしゃみ、唾液や胃酸によってウイルスは排出されますが、たとえ感染しても、体内システムがやっつけてくれる、というより、仲良く共生できるようになります。

 

太陽になるとか何とか自分に言いきかせるのが効果的で、そんな自分のイメージを潜在意識に刷り込んで言語化するのです、「私はいま〜している」という現在進行形で語り、楽しい嬉しいという言葉を加えると、自分が元気に変化することに確信を持てるようになる。

 

注意しなければいけないのは、そういうイメージを描けないと、変化を拒むホメオスタシスという現状維持プログラムがはたらいて、引き籠り状態を保とうとする、こうなると現状維持か変化かという葛藤が起こって、いつの間にかいつもの変化なしの自分に戻ってしまうということ、つまり三日坊主に終わってしまう。

 

そこを乗り越えれば、新しい状態を維持しようとするホメオスタシスがはたらいてくれます、そういう元気な状態を維持しようとする人たちが増えれば、いま言われている集団免疫とかが形成されるのです。

 

コロナ流行は二派、三派と長期に渡って続くでしょうから、晴れた日には散歩に出て深呼吸、手足を伸ばし、広げ、曲げ、捩じり、回し、目線を高くして速足ウォーク、百メートル走って肺機能を高め、脳にたくさん酸素を送り込み、血管を柔らかく、血液の回転を速くして、心拍数を上げる、空を見上げて宇宙に吸い込まれて行く気分を味わう、これを日常化するのです、そうすれば、ウイルスに感染しても重症化などしない。

 

免疫力をアップさせましょう、備えあれば憂いなし、大丈夫、自然治癒力という新陳代謝能力が私たちには本来備わっているのです、囲われた空間で机に座りっぱなしというのがいちばんいけない、栄養不足、酸素不足、睡眠不足、日光不足、血流滞留、内臓器も器官も機能せず、脳も情動、記憶、情報を認知しなくなる、自分に都合の悪いことは聴こえない、脳からの指令も聴こえない、外側からの情報も聴こえないる、何も聴こえなくなる、リア王みたいに。

 

そうならないように、人に頼らず、ものに頼らず、薬に頼らず、サプリメントに頼らず、運動してセルフコントロール、好きな人を思い出して歌をうたいましょう。

 

 くちづけとぶどうと死をも分かち合える友を得た者よ

 大いなるしあわせに恵まれた者よ
 星々のきらめく彼方に向かって共に歓喜の声をあげようではないか

 この世が厳しく分け隔てるものを結び合わせるために〜〜〜

 

歌は、詩は、いつも他人を思いやる自他への愛の表明、力の源泉、この世が分け隔てるものを結び合わせてくれるためにある、世の中が暗く息苦しくなっているいま、考えなければならないこと、やらなければならないことは一杯あります。

 

新型ウイルスとの付き合いでは市民社会の成熟度とその強靭さが試されます、そう、合言葉は自発的な行動制限で自分を守り、大切な人を守り、地域社会を守りましょう。(2020.4.1) 

 

 

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| - | 10:19 | - | - | pookmark |
恋するフォールスタッフー『ウィンザーの陽気な女房たち』1幕3場

 

昨年11月、中国湖北省武漢市でコウモリからのウイルス感染が確認され、12月にヒトからヒトへ感染が広がり、12月末から1月にかけて武漢から2万人弱が訪日、中国全土からは膨大な旅行者が訪日していたが、中国政府の強権体質は感染の広がりが可視化されることを嫌った。

 

制御できるから表沙汰にしないでほしいと言われて日本政府はハイと応じたらしい。

 

習近平訪日の地ならしと観光立国による経済発展を優先した政治判断、脅威は排除すべしと水際対策に打って出て、1月末から武漢からチャーター機で日本人を帰国させたが、1月15日には東京湾クルージングの屋形船で集団感染が起き、ウイルスはかなり前から侵入していたことが判明、甘く見ていたのだ。

 

2月3日にクルーズ船ダイアモンド・プリンセス号が横浜に着くと、政府は乗船者を過密状態の船内に2週間留め置き2次感染が広がり、慌てて厚労省は感染対策の基本方針を出したが、翌日(2月26日)にさらに慌てふためいて政府の対策本部がスポーツ・文化イベントの2週間自粛を要請、さらにその翌日には安倍首相が全国一律すべての小中高校に3月2日から1カ月間一斉臨時休校を要請、この唐突な要請で教育現場は混乱に陥り、翌日には自治体主体で判断してほしいと修正、一斉休校要請は首相の独断で、政府専門家会議では諮問もされず提言もされなかったという。

 

そして、その翌日、2月29日夕刻に首相会見がセッティングされ、プロンプターを読み上げるだけの対コロナ戦打倒の精神論がぶち上げられた、戦いに勝利するには国民の皆様の協力が必要であると、法的根拠も疫学的根拠も示さず、具体的な対処法も示されないままに36分で会見を打ち切り、質問があると叫ぶ記者を振り切って降壇。

 

異様で無責任な感染拡大防止対策が続いて、この国の医療体制の秩序確立は後手から後手に回り、出口の見えない長期戦に突入してしまった。

 

安倍政権が危いのは、公文書廃棄・改ざん・隠蔽、統計偽装、カジノ・IR・自衛隊の中東派遣、公私混同、虚偽答弁、恫喝、人事権の乱用、教育権無視、司法への介入、国会軽視があり、行政の長自身が財政法、公職選挙法、政治資金規正法、公文書管理法違反の疑惑を抱えているから。

 

第一、現場感覚ゼロだから、真に国民の安心安全保障体制を築ける筈がない。

 

今日から参院予算審議が始まり、案の定、野党に質問されて答弁に立つ首相も閣僚も上の空でとんと要領を得ない、インフルエンザ防御態勢、準備態勢ができておらず、場あたり的に愚策を並べ立てるだけ、時間だけが無為に過ぎて行く、今回も記録なし、議事録なし、行政システムぜんたいが麻痺している。

 

情けない、こんな悲しいことがあるか、03年のサーズ流行の教訓も、09年の新型インフルエンザ流行時の教訓も、3.11の教訓も、まったく活かされていない、ぶざま過ぎる、この体たらく、怒りを通り越して笑うしかない、笑えないけれども。

 

怒り、悲しみ、笑いは、能力であろう、物事を想像的に捉える力がつくと演劇が教えている、感性の練磨になると。

 

以前ウエストエンドで『ウィンザーの陽気な女房たち』をオペラ化したもの(イングリッシュ・ヴァージョン)を観たことがありますが、大掛かりな演出で巨漢の道化が洗濯籠もろともテムズ河に放り込まれるのを観て、息が切れるほどに笑い転げた。

 

『ヘンリー4世』二部作を観たエリザベス女王が今度は恋するフォールスタッフを観たいと言ったとかで一気に書き上げたらしいこの作品、ヘンリー4世の治世でなくエリザベス朝イングランドの中産階級を舞台にした現代劇になっていて、反乱やフランスのイングランド侵入の気配はなく、ぜんぶ庶民生活の出来事で、従ってせりふはほぼすべて散文です。

 

グローブ座のパトロンであった宮内大臣ジョージ・ケアリーが1597年4月にガーター勲章を授かったときのために書かれたという説があり、これに従うと4月23日の祝宴にエリザベス1世が出席して上演されたことになります。

 

ウィンザーにやってきた金欠状態のフォールスタッフ、そこには裕福なフォード夫人とペイジ夫人がいて、フォールスタッフは中身の同じラブレターを書いて、子分のピストルとニムに届けさせようとします、カネのためなら手段選ばずの詐欺行為。

 

 

Fal. Well sirs, I am almost out at heeles.

Pist. Why then let Kibes ensue.

Fal. There is no remedy: I must conicatch, I must shift.

Pist. Yong Rauens must haue foode.

Fal. Which of you know Ford of this Towne?

Pist. I ken the wight: he is of substance good.

Fal. My honest Lads, I will tell you what I am about.

Pist. Two yards, and more.

Fal. No quips now Pistoll: (Indeede I am in the waste

 two yards about: but I am now about no waste: I am a-

 bout thrift) briefely: I doe meane to make loue to Fords

 wife: I spie entertainment in her: shee discourses: shee

 carues: she giues the leere of inuitation: I can construe

 the action of her familier stile, & the hardest voice of her

 behauior (to be english'd rightly) is, I am Sir Iohn Falstafs.

Pist. He hath studied her will; and translated her will:

 out of honesty, into English.

Ni. The Anchor is deepe: will that humor passe?

Fal. Now, the report goes, she has all the rule of her

 husbands Purse: he hath a legend of Angels.

Pist. As many diuels entertaine: and to her Boy say I.

Ni. The humor rises: it is good: humor me the angels.

Fal. I haue writ me here a letter to her: & here ano-

 ther to Pages wife, who euen now gaue mee good eyes

 too; examind my parts with most iudicious illiads: some-

 times the beame of her view, guilded my foote: some-

 times my portly belly.

Pist. Then did the Sun on dung-hill shine.

Ni. I thanke thee for that humour.

Fal. O she did so course o're my exteriors with such

 a greedy intention, that the appetite of her eye, did seeme

 to scorch me vp like a burning-glasse: here's another

 letter to her: She beares the Purse too: She is a Region

 in Guiana: all gold, and bountie: I will be Cheaters to

 them both, and they shall be Exchequers to mee: they

 shall be my East and West Indies, and I will trade to

 them both: Goe, beare thou this Letter to Mistris Page;

 and thou this to Mistris Ford: we will thriue (Lads) we

 will thriue.

Pist. Shall I Sir Pandarus of Troy become,

And by my side weare Steele? then Lucifer take all.

Ni. I will run no base humor: here take the humor-Letter;

 I will keepe the hauior of reputation.

Fal. Hold Sirha, beare you these Letters tightly,

 Saile like my Pinnasse to these golden shores.

 Rogues, hence, auaunt, vanish like haile-stones; goe,

 Trudge; plod away ith' hoofe: seeke shelter, packe:

Falstaffe will learne the honor of the age,

 French-thrift, you Rogues, my selfe, and skirted Page.

 

    heeles = destitute    Kibes = Sober heels    conicatch = swindle 

    shift = live by my wits    ken the wight = know the man    about = in gairth

    carues = is courteous    honesty = chastity    Angels = Gold coins

    iudicious illiads = amorous glances    Pandarus of Troy = a go-between

  by my side weare Steele = remain a soldier    auaunt = be gone    

    packe = be off

 

                 1.3.

 

フォールスタッフ よおおめえら、俺はいま金詰まりでお手上げなのよ。

ピストル だからご立派な腹詰まり。

フォールスタッフ どうにもならん。鴨を捕まえなきゃ、上手くよ。

ピストル 鴉の雛でもいいぜ。

フォールスタッフ この町のフォードってのを知ってるか?

ピストル 知って知ってる。てえした金持ちだ。

フォールスタッフ そうかい、どうだろうなこういうのは。

ピストル 胴回りは2メートル、ちょい。

フォールスタッフ 洒落はやめろピストル。(まあな俺の胴回りは

 2メートル近い。いやどうでもいいって話じゃねえ。俺は

 節約家よ)言っちまえば。あれになろうってのよフォード

 女房の。俺に気があるみてえなんだ。よく喋るし。

 親切だし。流し目するし。見当はつくよな

 あの親し気な仕草、それに堅気な物言いから

 (読めるのよ)、私はジョン・フォールスタッフ様のものよ

ピストル 女心を読んだ。やる気と解きなすった。

 ありていに、言っちまえば。

ニム 深い下心。そろそろ下着の紐を解くってか?

フォールスタッフ ああ、噂じゃ、女房が握ってるってよ

 亭主の財布の紐を。小判の山が女房の思いのまま。

ピストル 悪魔が寄ってたかって。さあやっちまえ。

ニム やる気満々。たまんねえ。思いのままによ。

フォールスタッフ さあ恋文がこれだ。こっちは

 ページの女房に、あの女も俺に色目を使った。

 この体を物欲しそうに眺めたのよ。

 目の先が、俺の足先にぱっと。それから

 この腹にぱっと。

ピストル いよう朝日に映える馬糞の山。

ニム 兄弟うめえぞ。

フォールスタッフ そう俺のどてっぱらを

 じっと見つめやがった、色っぽい目してよ、こちとら

 真っ黒焦げだ火取りレンズにやられて。ほれもう一つ

 やつ宛てだ。あの女も財布の紐を握っている。金山だよな

 ギアナの。掘れば黄金が、ざっくざく。詐欺師だよな

 二人の。あの二人が俺の財務相。女房二人が

 東と西のインド諸島、俺が一手に引き受けたるわ

 島との取り引きをよ。さあ、この手紙をページの女房に。

 おめえはこれをフォードの女房に。これで万事(ご両人)

 オーケー。

ピストル 俺にトロイのパンダラスになれってか、

 腰に剣を下げてんだぞ?そんなもん悪魔に食われっちまえ。

ニム 卑怯な真似はできねえ。お返しするぜ恋文は。

 俺も対面は大事にしてえからよ。

フォールスタッフ じゃあお前、手紙を届けてこい、

 早船みてえにすっ飛んで行け黄金の海岸に。

 こいつら、なら、首だ、あられみてえに消えっちまえ。出て行け、

 のろのろ。とぼとぼと。小屋を探せ。どこにでもしけ込め。

 フォールスタッフも当世風を見習って、

 フランス流節約よ、あいつらめ、俺の、小姓一人ですましたるわ。

                    

 

子分どもはお払い箱にされた腹いせに相手方にフォールスタッフの企みをばらしてしまいます。

 

夫のペイジは心配しないが、フォードが気にする、女房たちは受け取った恋文が同じであることを知って怒り、誘いに乗ったふりをする。

 

変装したフォードは女房を口説いてくれとフォルスタッフに頼み、すったもんだの現場で隠れた先が洗濯籠のなか。

 

ずぶ濡れになっても懲りずに再トライすると、今度は棍棒でしたたかにぶん殴られ、とどのつまり、狩人ハーンの恰好をしてウィンザーの森のオークの木の下で女鹿ちゃんを待ち詫びていると、妖精に扮した子どもたちがぞろぞろと出てきて、青くなるまで全身を抓ねくられる。

 

これに絡んで、両親の思惑でそれぞれのお気に入りと結婚させられそうなページの娘アンが、どさくさに紛れて第三の相思相愛の若い紳士フェントンと駆け落ちします。

 

劇のテーマは、愛、嫉妬、怒り、復讐、驕れる者の身勝手さ、これに階級偏見の感情が加わり、フランス訛りとウェールズ訛りが劇的効果を高めるなかでフォールスタッフが悪党と道化を演じて、人間の本性を露骨に見せつけます。

 

さて、ところで、シェイクスピア劇のオペラ化は圧倒的にフランス人、イタリア人の手によってなされてきましたね。

 

英国ではシェイクスピアをオペラ化しない、あってもほんの僅か、なぜなのか。

 

思うに、シェイクスピアの作品のイメージを壊さないように仕上げるのは至難の技、というのではなくて、せりふぜんぶが韻を踏んでリズミカル、散文せりふもときにリズミカル、芝居全体が音楽を奏でているから、なのではないだろうかと。

 

この散文劇も歌が余韻となって残ります。

 

 Fie on sinnefull phantasie: Fie on Lust, and Luxurie:

 Lust is but a bloudy fire, kindled with vnchaste desire,

 Fed in heart whose flames aspire,

 As thoughts do blow them higher and higher.

 Pinch him (Fairies) mutually: Pinch him for his villanie.

 Pinch him, and burne him, and turne him about,

 Till Candles, & Star-light, & Moone-shine be out.

 

 さあ汚れた邪念。妄念、色欲。

 妄念は燃える火、卑しい思いに駆られ、

 身を焦がす炎に煽られ、

 いや増しに燃えさかる。

 抓っておやり(妖精たち)。抓っておやり悪い人を。

 抓って、焼いて、ぐるぐる回しておやり、

 灯りも、星の輝き、月の光も消えるまで。

 

抓られて焼かれて浄化された?フォールスタッフを見て、ページの女房殿がこう締め括ります。

 

let vs euery one go home/And laugh this sport ore by a Countrie fire/Sir Iohn and all.(みなさんうちへどうぞ、田舎家の炉端で今夜のことを笑い合いましょう、ジョンさんもご一緒に)。

 

このフィニッシュがいい、そう、歌は自由気儘に誰のところにも飛んで行く、分け隔てなく、感性がくすぐられ研ぎ澄まされて、泣く力と笑う力が身につく、それゆえにということではないのでしょうか、シェイクスピア劇をわざわざオペラ化する必要はないのです。

 

不穏なときにこそ感性は磨かれる、想像力、洞察力、そして構想力も。

 

こんなふざけた劇が、せりふが、不思議と皮肉な響きを伴って、世界に広がる自国優先主義、経済第一主義にビビッドに突き刺さってきます。(2020.3.2)

 

 

シェイクスピア朗読教室

http://shaks.jugem.jp/

 

 

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