シェイクスピア朗読

シェイクスピアについて徒然に綴るブログです
権力―『ジュリアス・シーザー』1幕1場

 

権力とは、ただひとつであること、一つの種類だけでほかに混じりもののないことを望み、多様性を否定するものです。

 

他人を支配し服従させようとしてはいけない、寛容と忍耐、譲歩の美徳尊重、異なる意見を聴いて敵だ味方だと峻別してはいけない。

 

日本国憲法はいきり立つことを許さない、民主主義的政治形態は強権を許さない。

 

優しさと心の穏やかさを失って居丈高になると多様性の豊かさが萎む。

 

日本は多様性に富んだ国である、北から南からやって来た人類の多様な遺伝子、春夏秋冬に見せる多様な景観美、生物多様性、そこに生み出される多様な色彩文化、与えられた列島という環境のなかで育まれた多様な日本人の知恵のあれこれ。

 

いまの日本の不幸は、これら多様性の否定、虐待、喪失にあるのではないか。

 

負けられません勝つまではの単一思考、単一的価値の押し付けが蔓延、浸透し、権威となり、服従と追随を生み、主張、自主性、独自性、意外性、異質性、奇想天外、ユニークさは排除される。

 

権力志向の強い者が勢ぞろいして非を理に言い曲げて示威する状況は、嘆かわしい、情けない。

 

ヒーローと少数エリート集団の舞台を想い起こすまでもなく、権力志向はあとを絶たない。

 

共和政下のローマでポンペイ一族を滅ぼして凱旋するシーザーを熱狂的に迎えようとする市民、いや、平民がいて、その群衆化に不安を感じるのが小数エリート派集団の元老院の貴族たちと護民官たちです。

 

彼らは民衆が興奮してシーザーを皇帝に押し上げでもしたら、自分たちの存在が脅かされると危惧するのです。

 

 

マララス 商売は何だ?はっきり言え。

靴直し 商売ですよ旦那、商売と言ったって、

 まともなもんで、いやほんと、いかれたやつの修理屋です。

フレイヴィアス どんな商売をしているんだ?分からず屋め、

 どんな商売だ?

靴直し まあまあ旦那、機嫌を悪くなさらないで。ですが

 いかれているようでしたら旦那、直して差し上げます。

マララス なんだと?俺を修理するってのか、この

 糞生意気な野郎が?

靴直し 手前は旦那、底のほうを直しますんで。

フレイヴィアス 靴直し、なのか?

靴直し その通り、食べておりますんで、錐1本で。

 別に他人様の商売や、女を突っついたりは

 しません。実のところ旦那、手前は靴の外科医なんで。

 命が怪しくなると、手前が直して差し上げる。

 旦那方が子牛のなめしをお召しになるように、

 もうみんな手前の手仕事をあてにしておりまして。

フレイヴィアス だがなぜ店にいないんだ今日は?

 なんで連中を引き連れて街をほっつき歩くんだ?

靴直し 実のところ旦那、靴を減らしてもらって、

 手前の仕事をこさえてもらおうかと。いえね旦那、

 店を休んでシーザー様を見ようと、凱旋をお祝いして。

マララス 何がお祝いだ?

 どんな戦利品を持ってくるというのだ?

 どんな捕虜をローマに連れて来るというのだ、

 戦車の飾りに縛りつけて?

 この唐変木の、石頭の、感覚なしの物にも劣る奴め。

 情知らずの、残酷なローマ人め、

 ポンペイ殿を忘れたのか?

 城壁によじ登り胸壁にかじりついて、

 塔や窓に群がったんじゃないのか?そう、煙突にまで、
 腕に子どもを抱いて、坐って

 一日中、我慢していまかいまかと待って、
 あの偉大なポンペイがローマに凱旋するのを見ようとした。 
 戦車がちらっと見えただけで、

 一斉に歓呼の声をあげたから、

 ティベール川も土手下で身を震わせた、

 お前たちの喚声がこだまして、

 両岸に響いたんじゃなかったのか?

 なのにお前たちは晴着を着てめかし込むのか?

 わざわざこの日を休みにするのか?

 シーザーの前に花を撒くのか、

 ポンペイ一族を滅ぼして凱旋するってのに? 立ち去れ、
 走って家に帰れ、跪いて、

 神々に祈って災いを留めてもらえ
 こんな恩知らずには天罰が下るぞ。

 フレイヴィアス 帰った、帰った、平民、罪滅ぼしに

 仲間の貧乏人をみんな集めろ。

 タイバーの堤に連れて行って、涙を流せ

 水路に、いま一番低い川が

 涙で一番高い岸辺に溢れるまで。

 平民すべて退場。

 

               1幕1場  

 

 

Mur. But what Trade art thou? Answer me directly.

Cob. A Trade Sir, that I hope I may vse, with a safe

 Conscience, which is indeed Sir, a Mender of bad soules.

Fla. What Trade thou knaue? Thou naughty knaue,

 what Trade?

Cobl. Nay I beseech you Sir, be not out with me: yet

 if you be out Sir, I can mend you.

Mur. What mean’st thou by that? Mend mee, thou

 sawcy Fellow?

Cob. Why sir, Cobble you.

Fla. Thou art a Cobler, art thou?

Cob. Truly sir, all that I liue by, is with the Aule: I

 meddle with no Tradesmans matters, nor womens mat-

 ters; but withal I am indeed Sir, a Surgeon to old shooes:

 when they are in great danger, I recouer them. As pro-

 per men as euer trod vpon Neats Leather, haue gone vp-

 on my handy-worke.

Fla. But wherefore art not in thy Shop to day?

 Why do'st thou leade these men about the streets?

Cob. Truly sir, to weare out their shooes, to get my

 selfe into more worke. But indeede sir, we make Holy-

 day to see Cæsar, and to reioyce in his Triumph.

Mur. Wherefore reioyce?

 What Conquest brings he home?

 What Tributaries follow him to Rome,

 To grace in Captiue bonds his Chariot Wheeles?

 You Blockes, you stones, you worse then senslesse things:

 O you hard hearts, you cruell men of Rome,

 Knew you not Pompey many a time and oft?

 Haue you climb'd vp to Walles and Battlements,

 To Towres and Windowes? Yea, to Chimney tops,

 Your Infants in your Armes, and there haue sate

 The liue-long day, with patient expectation,

 To see great Pompey passe the streets of Rome:

 And when you saw his Chariot but appeare,

 Haue you not made an Vniuersall shout,

 That Tyber trembled vnderneath her bankes

 To heare the replication of your sounds,

 Made in her Concaue Shores?

 And do you now put on your best attyre?

 And do you now cull out a Holyday?

 And do you now strew Flowers in his way,

 That comes in Triumph ouer Pompeyes blood?

 Be gone,

 Runne to your houses, fall vpon your knees,

 Pray to the Gods to intermit the plague

 That needs must light on this Ingratitude.

Fla. Go, go, good Countrymen, and for this fault

 Assemble all the poore men of your sort;

 Draw them to Tyber bankes, and weepe your teares

 Into the Channell, till the lowest streame

 Do kisse the most exalted Shores of all.

  Exeunt all the Commoners.

 

   soules  soles(足の裏) とも聴こえる  proper = fine     gone = walked     

    Tributaries = ransome payers     senslesse = inanimate     replication = echo   

    cull out = choose    blood = offspring  plague   神罰と考えられていた

 

 

マララスとフレイヴィアスは平民保護のために平民会から選出された護民官で、平民代表として貴族たちと丁々発止渡り合って、ローマの多様な価値の追求に精出さなければならない立場です。

 

ところが頭にあるのは保身、どうしたら折角得た地位・権力・名誉を保てるかだけで、選出された時点で自分の立場など忘却の彼方に。

 

肩書きが付くと人間はこうなる、豹変する、ちょろっと目立ったくらいで神通力を持つ高慢な天狗に。

 

平民に向かって居丈高に吠え立てるのは、貴族側元老議員の決定を拒否できるほどの権力を持つ人物、明日には皇帝に就くかもしれない人物に対して疑心があるから、自分たちも一端の権力者だと錯覚しているのです。

 

で、ことの成り行きを決したのは彼ら護民官たちではない、暗殺計画の首謀貴族キャシアスでもない、シーザーにとどめの一撃を加えて共和制を維持しようとしたブルータスでもない。

 

そう、個人ではない、分からず屋の、糞生意気な、唐変木の、石頭の、感覚なしの、物にも劣る情知らずの、残酷なローマ市民なのです。

 

と言っても、彼らを煽り立て暴徒化させて利を得たのは、もう一人の悪賢い個人でしたけどね。

 

古代ローマのフォルム(Forum、都市の公共広場)は、四周をバシリカ、元老院、神殿などの公共施設や列柱廊で取り囲まれるオープンスペースで、ここでブルータスがシーザー暗殺の大義を説き、市民がブルータス万歳を叫んだ、直後アントニーが熱弁をふるって市民を扇動、群集と化した市民はシーザーの遺産相続人に豹変して、ブルータスとキャシアスは逆賊の運命を転がり落ちて行くのです。

 

非暴力主義者のガンジーは言いました、自分と異なる意見を聴こうとしない不寛容は敵か味方かを選別する独裁となり、暴力化すると。

 

民主主義という蓑を被った浅はかな多数派の思惑によって物事が決まる状況は危うい、繰り返される人間の権力志向の醜態が人間の頭よりもロボットやコンピュータのほうが信用できると私たちに思わせるのです。

 

人間の未来社会の決定権をロボットやコンピュータに譲っていいのか、機械を権力者にしていいのか。

 

多数派であれ、少数派であれ、ヒーローであれ、機械であれ、疑ってかからなければなりません。

 

 

うちむらとしのりシェイクスピア朗読

http://shaks.jugem.jp/

 

 

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決闘の第七原因―『お気に召すまま』5幕4場

 

心を病む者は嘘をつくことがある、意識なしに話すのだから単なる嘘つきとは違う。

 

政治家は嘘をつく、企業家は嘘をつく、ビジネスマンは嘘をつく、スポーツマンは嘘をつく、彼らは単なる嘘つきにすぎない。

 

無能だから嘘をつくのではない、学識も経験もあるから嘘をつく、能ある鷹は爪を研ぐ、誤魔化しを糊塗する術を心得ているのだろう。

 

強権政治の蔓延が既存の団体、行政組織、システムを権威化し、国防、防災、教育、エネルギー政策、すべて分裂気味に推移するが、説明なし、議論は広がらず、深まらない、どころか、始まらない、たとえ議論しても煮詰まることはない。

 

いつから始まったのか官邸支配、これを支える内閣官房職員はいまや3,000人超、現政権発足当初から中枢メンバーは変わらずに機能強化に励み、ムダ金使って金欠状態、問題を持ち込まれては困る、個別の案件には応えない、震災対策と福祉対策は自助だ、共助だ、最後に公助だ、助け合いの相互扶助精神を発揮して市民総参加の協働の精神で地方創成、自治、ボランティアに精出してくれ、報酬は達成感でお願いしたい、忖度してくれないか、こういう応援歌がいまを乗り切るキーワードに。

 

そもそも市民を尊重する気などないから、信頼はゼロ状態、言葉が風化するなかで勇を鼓して非難しても馬耳東風、これではいけないと組織改革を訴えようとする者はいるが、反対なら離脱してくれと排除する、露骨極まる陰湿な無言の圧力、組織を出れば改革などできるわけがない、結局、批判を噛み殺すしかない。

 

拒絶的異論に耳をかさないとなれば議論の積み重ねはない、亀裂は深まり、分断化が進み、分裂社会になるしかない、人間関係はズタズタに、昔なら決闘か、闇討ち切り捨て御免か、ドカンと一発か。

 

そんな物騒な気配も出てきた抑制の利かない日本社会、社会的無責任が大手を振ってまかり通るなか、演説されたり記者会見されたリお詫びされたり、いと物狂おしく吹き荒ぶ秋の声、あ、そう、反応は鈍い、空虚。

 

シェイクスピアに現代への教訓を読み取ってみましょうか。

 

参加と協働の意味をシェイクスピア劇に探ればどういうことになるか。

 

当時、役者と観客の間には舞台上の暗黙の約束事、コンベンション(convention)が中世以来の慣例として残っていました。

 

con は「連れ立って」、vention は「来ること」、つまり一緒に連れ立って起こる演劇上の出来事で、この観客との間の暗黙の了解事項が劇作家と観客の信頼関係を密にしたのです。

 

グローブ座はいまのような舞台と客席が向き合う形でなく客席に向かって突き出た半野外の円形構造で、観客は舞台をぐるりと囲み、ありとあらゆる階層の人びとが桟敷に座り、あるいは平土間を動いていました。

 

知性ある観客から無知なる観客までがごった返し、こんなに多くの耳や目をどうやったら満足させられるか、ある者は遊びのために、ある者はエールを飲み木の実を齧るために、ある者は騒ぎを起こすためにやってきている、そんな観客に対する劇作家たちの不満は、シェイクスピアを除いて、さまざまに語り伝えられているところです。

 

この無差別に融合する観客に期待して作品を書いたシェイクスピアの舞台は、人種、民族、階級、職業、性、国籍、言語、宗教、政治的信条等で一方に偏ることがない、というよりできなかった、観客との協働作業を可能にする暗黙の了解事項が客席との間に共有されていたから。

 

観客との信頼醸成に記憶という目に見えない歴史的遺産がはたらいていたのです。

 

中央の切り穴からひょいと顔を出して駄洒落を進呈しまくった『マクべス』の門番がその例で、王殺しというこの世の暗黒を映し出す場にこの滑稽な男が挿入された、それは、舞台の上が天上界、舞台は現実の人間世界、舞台の下が異界、他界、地獄界という約束になっていて、門番は地獄の大魔王の子分という伝統的な喜劇的役柄を担う人物であった、観客がこのことを知っているという前提に立っていたのです。


「やけに叩くじゃねえか、地獄の門番なら鍵の回しっ放しだぜ」と聴いただけで、観客は何もない舞台を補ってあまりある地獄界を想像することができたのでした。

 

それもこれも、まあ、絵空事の世界、嘘の世界、虚構の世界と言えばその通りであるけれども、観客はシェイクスピアの虚構の世界を舞台の真実として受け止めた、多様な人物が登場し、退場し、複数の場の虚実が演出されて、舞台はスピーディーに処理される、それは嘘の連続でありながら、観客はすべてを一つの真実として想像し、シェイクスピアの言葉の魔術を舞台の現実として受け留めたのです。

 

シェイクスピア劇が一方に傾き観客をあらぬ方向へ走らせることがないのは、十方衆生へのこの信頼が断乎として劇作のベースにあったからであり、だからこそ登場人物は舞台の外に出たり、平土間に降りたり、あるいは舞台よりも一段高い桟敷に移動して観客と一緒に舞台を眺めたりできたのです。

 

無差別に融合する観客と役者の信頼関係が劇をいのちあるものに、この観客への信頼がなければ劇作家は誰をどのように楽しませたらいいか迷うだろうし、自分の作品を理解してもらえなければ観客に不満を募らせることにもなるでしょう。

 

シェイクスピアには観客への期待はあったが、他の劇作家にあったような、観客に対する不満はありませんでした。

 

どのような事情であれ抑制なく相手と対立すれば、分断が起こり、分裂状態に。

 

気に喰わないことを言われれば返したくなるのが人情であっても、信頼し合うところがあるならば、相手を傷つけない穏やかな応対になる、貴乃花引退問題なんかもそう、何やっているんですか、いまの日本相撲協会は?

 

口喧嘩になり、嘘つき呼ばわりされて、決闘に到ることもあったシェイクスピアの時代、宮廷人は無能でなく学識と経験はあったが口論となり、エスカレートして、剣で突き合う事態にもなったでしょう。

 

『お気に召すまま』の道化タッチストーンが決闘の第七原因について述べています。

 

 

ジェイキス さっきの第七原因の説明を。どういうわけで 

 決闘の根拠が第七原因になったんだ?

道化 嘘が原因、七度繰り返したんだ。(ちゃんと

 してろよオードリー)こういうわけだ。気に喰わん

 その顎髭はとある宮廷人に言ったんだ。言い返してきたよ、

 お前がどう言おうと、俺はこの形がいいんだ

 とね。これが慇懃なる口答えというやつ。そこで

 二たび返す、髭の刈りようがよくない、すると相手が言い返す

 自分の好きなように刈っているんだ。これが穏健なる毒舌。

さらに、刈りようがよくないと言うと、否定してくる。

これは、礼を失する逆ねじ。もう一度よくないと

言うと、本当のことを言っていないと返してくる。これは

勇敢なる非難。続けて、刈りようがよくないと言うと、こう

来る、嘘つきめ。拒絶的反論というやつだ。

こんな調子で間接的嘘つき呼ばわり、直接的嘘つき呼ばわりに。

ジェイキス 何度顎髭の刈りようがよくないと

 言ったんだ?

道化 間接的嘘つき呼ばわりの段階まで。

 相手も直接的には到らなかった。というわけで

 剣の長さを較べっこして、お別れ。

ジェイキス もう一度順序立てて言えるかね、嘘呼ばわりの

 段階を?

道化 そりゃあもう、口喧嘩は型通り、本にある通り。

 礼儀作法をマニュアル通りにやるのと同じ。段階を

 追って言うよ。

 第一、慇懃な口答え。第二、

 穏便な毒舌。第三、失礼な逆ねじ回答。第四、

勇敢なる非難。第五、拒絶的反論。

 第六、間接的嘘つき呼ばわり。第七、

直接的嘘つき呼ばわり。全段階決闘は避けられる、

直接的嘘つき呼ばわり以外は。

 これだって逃げられる、もしもとひと言付け加えれば。

 裁判官が7人がかりでもけりのつかなかった諍いがあったが、

 当人同士が出逢ったとき、一人が

 もしものひと言に思い至った。もしもなら、私もそうだと。

 そこで二人は握手をして、兄弟の契りを交わした。もしもは、

 比類なき仲裁役。もしもにはすぐれた品格がある。

 

                    5幕4場

 

 

Iaq. But for the seuenth cause. How did you finde

 the quarrell on the seuenth cause?

Clo. Vpon a lye, seuen times remoued : (beare your

 bodie more seeming Audry) as thus sir: I did dislike the

 cut of a certaine Courtiers beard: he sent me word, if I

 said his beard was not cut well, hee was in the minde it

 was : this is call'd the retort courteous. If I sent him

 word againe, it was not well cut, he wold send me word

 he cut it to please himselfe: this is call'd the quip modest.

 If againe, it was not well cut, he disabled my iudgment:

 this is called, the reply churlish. If againe it was not well

 cut, he would answer I spake not true : this is call'd the

 reproofe valiant. If againe, it was not well cut, he wold

 say, I lie : this is call'd the counter-checke quarrelsome :

 and so to lye circumstantiall, and the lye direct.

Iaq. And how oft did you say his beard was not well

 cut?

Clo. I durst go no further then the lye circumstantial:

 nor he durst not giue me the lye direct: and so wee mea-

 sur'd swords, and parted.

Iaq. Can you nominate in order now, the degrees of

 the lye.

Clo. O sir, we quarrel in print, by the booke: as you

 haue bookes for good manners: I will name you the de-

 grees. The first, the Retort courteous: the second, the

 Quip-modest: the third, the reply Churlish: the fourth,

 the Reproofe valiant: the fift, the Counterchecke quar-

 relsome: the sixt, the Lye with circumstance: the sea-

 uenth, the Lye direct: all these you may auoyd, but the

 Lye direct : and you may auoide that too, with an If. I

 knew when seuen Iustices could not take vp a Quarrell,

 but when the parties were met themselues, one of them

 thought but of an If; as if you saide so, then I saide so:

 and they shooke hands, and swore brothers. Your If, is

 the onely peace-maker: much vertue in if.

 

   seeming = becomingly   disabled = disparaged  counter-checke = rebuff

    circumstantiall = indirect   nominate = name   take vp = settle

 

 

間接的嘘つき呼ばわりの段階でぐっと踏み止まらなければいけません。

 

もしも連れ立って連続する流動が停止して、舞台から「明日、明日、明日、時は小刻みな足取りで一日いちにちを這うように時の記録の終わりのひと言に辿り着く」などというせりふが聴こえてきたら、観客はどう反応するだろうか。

 

その間舞台の動きはストップして、複数の舞台を目まぐるしく移動してきた観客と役者の信頼関係は崩れるのか。

 

いや、相互に信頼があるなら、観客もしばし瞑想の世界に誘われて、いまを生きる認識を得て、現実の世界から異界へ、あの世へ、ありったけの想像の羽を伸す時間となるかもしれない、マクベスを信頼して秘密の対話を交わすことになるかもしれない、相手との諍いを天上界から見降ろす視点に立つことができるならば、観客はマクベスとともに、連れ立って起こる演劇上の出来事を生きることができるのです。

 

観客への信頼が揺らいだら何事も起こり得ない、頼りになるのは観客の多様性という何物に代えがたい劇的素材であり、観客の想像力なのです。

 

シェイクスピアは多様な観客との共鳴、共振、共有できる劇行為という参加と協働の作業を通して合意形成の構築に向かったのです。

 

シェイクスピアが後年英国市民社会の神話をつくったと言われる所以です。

 

 

うちむらとしのりシェイクスピア朗読
http://shaks.jugem.jp/  

 

 

| - | 13:59 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
自然治癒力ー『ロミオとジュリエット』2幕2場

 

台風や地震に見舞われても季節は確実に巡ってくる、いまは秋、ススキの穂に青い月の光が射しています。

 

日本ではススキと月は昔の武蔵野のイメージですが、月の光にあたると脳をやられる、気紛れになる、子どもが生まれなくなるなどの言い伝えも。

 

青い光にやられても自然治癒力(homeostasis)がはたらく、体内の諸器官を活性化させて体内環境(脳、体温、血管、血流、骨、筋力)のバランスを整えてくれます。

 

但し、ボーッとしていてはいけない、運動して肺機能を高める、するとホメオスタシスが目覚めて自律神経と内分泌腺が活発にはたらいてくれるのです。

 

手足を伸ばし、広げ、曲げ、捩じり、回す、目線を高くして20分ほど速足ウォーク、心拍数が上がり、百メートル走ると、血管が柔らかくなり、血液の回転が速くなる、空を見上げれば気は宇宙の大気に吸い込まれる気分。

 

呼吸が乱れ、運動不足、気分もブルーだと、太陽の光に通じるパイプは詰まってしまう。

 

そうなると、呼吸は細く、短く、声は小さく、ひと、もの、こととの関係を自分から壊してしまって、不安感、恐怖心、孤独感、焦燥感が嵩じて血管硬化症に、骨密度は下がり、話すことはことごとく悲観的、否定的に。

 

これらブルー症状を惹き起こす要因は、グローバル経済化、高度情報化、高度機械化、高度心理社会化する世界で政治が上手く機能していないことにある、とは言え、なにやらよく分からないもやもやにコントロールされて内向きになってばかりいると、脳はお疲れさま状態に。

 

やせ細っているばかりいてはどうにもこうにも、もりもり食べて体力・気力をつけなければいけません。

 

口に入れたタンパク質や炭水化物は小さな分子に分解されて腸に吸収される、その繰り返しで体がつくられて、1年も経てば体はほとんど別人に入れ替わってしまう、らしい。

 

変なものを口に入れても肝臓が血液の入り口で解毒し、腎臓が血液を浄化してくれる。

 

血液は身体の外側を流れてきた動脈血と内側を巡ってきた静脈血が心臓で対峙、胸のあたりで神経とか意識とかが何かを感じ取り、つまり、晴々としない、鬱々している、圧迫感がある、思考停止がある、感覚麻痺がある、感性鈍化がある、閉塞感がある、呼吸不全がある、と感じ取ったら、問い正してくる、お前さんフィーブルじゃありませんかと。

 

すると脳は若々しく生まれ変われと指令を出す、指令を受けて臓器や器官が、呼吸と運動によって刺激を受け、調整に動き出し、身体は若々しく生まれ変わる、そんな新陳代謝力が私たちの体には備わっているのです。

 

身体環境がうまく調整されていると周囲とのコミュニケーションは滑らかになるが、脳が邪魔することがある、情動、記憶、時間空間情報を認知し統合する作用を行なう海馬とかのはたらきらしく、何が何だか分からなくなって、人の話を聴くのが難しくなって、自分の体の声を聴くのも難しくなることがある。

 

自己中心意識が強すぎるとそうなる、自分に都合の悪いことは聴こえなくなり、内側と外側からの情報が途絶えてコミュニケーション・エラー、指令も聴こえない批判も聴こえなくなったあの頑迷なリア王状態になってしまう。

 

そうならないために、体からの問い掛けにしっかり耳を澄し、問い掛けに反応して骨や筋肉を動かす、口をすぼめて意識的に深く長く息を吐く、目をつぶって耳だけになり音の世界に浸る、そうやってホメオスタシスのはたらきを手伝ってあげる、こんな新陳代謝コンディショニングを意識的に行なえば、臓器や器官や骨や心理状態をバランスのとれた状態に保つことができるのです。

 

ものがあっても見えない、音がするのに聴こえないのは、呼吸が乱れ、臓器や器官の機能がしっちゃかめっちゃかに活動、あるいはくたびれてへたり込んでいるから。

 

体は受容器なのであって、ものがよく見え声や音がよく聴こえる状態にさえ整えてあげれば万事オーケー、シェイクスピア朗読ができます。

 

せりふの情景がサーッと目に浮かんできて、たとえ子どもから大人に変身したばかりの14歳の女の子だろうが、恋を知り、その相手に向かって胸一杯に囁くせりふをばっちり朗読できる、自分の記憶の果てからそんな感情体験を拾い出してきて、実感を込めてせりふに乗せることができる。

 

バルコニーのシーン、キューピッドの矢に射抜かれた恋人にとって相手は早や神のごとき存在、ロミオはトロリンとしているが、ロザラインを忘れて浮気しているというのではありません。

 

二人は暗い夜が明るみに出した永遠の光を見つめ合っているのです。

 

 

ロミオ 君、あのお月様に賭けて誓うよ、

 あの果物の樹のてっぺんを銀色に染めている。

ジュリエット まあお月様に誓うなんて、気紛れお月様よ、

 ひと月ごとに満ち欠けするでしょ、

 あなたの恋があんな風に変わり易いのは嫌。

ロミオ 何に賭けて誓おうか?

ジュリエット 何も誓わないで。

 でもどうしてもって言うならあなたの優しさに賭けて、

 あなたは私が崇拝する神様だから、

 その誓いなら信じる。

 

                2幕2場

 

 

Rom. Lady, by yonder Moone I vow,

 That tips with siluer all these Fruite tree tops.

Iul. O sweare not by the Moone, th'inconstant Moone,

 That monethly changes in her circled Orbe,

 Least that thy Loue proue likewise variable.

Rom. What shall I sweare by?

Iul. Do not sweare at all:

 Or if thou wilt sweare by thy gratious selfe,

 Which is the God of my Idolatry,

 And Ile beleeue thee.

 

  Orbe = Orbital sphere

 

 

青い月の光が射す暗闇空間での愛の交感、ロミオは何かに誓って愛を永遠のものにしたい、ジュリエットも相手に誓わせたい、そんな歓喜の瞬間

 

胸一杯の言い合いにも言葉が及ばない、この言葉不足の状態は恋人関係の不適応を招くのか、そんなことはない、不足気味でちょうどいい、そんな隙間をつくって、バルコニーと月の光のセッティングながら何もかもが勢ぞろいした濃密な逢引の場を劇作家は工夫し構築しようとしているのです。

 

恋をしましょう、恋をして、笑いましょう、泣きましょう、うたいましょう、肺機能を高めましょう、自律神経を安定させましょう、歩きましょう、走りましょう、脳にたくさん酸素を送りましょう、ジャンプして骨を強くしましょう、テニスボールで足裏をぐりぐりやりましょう、シェイクスピアを読んで元気になりましょう、その前に唾液腺を刺激して発声練習をしましょう。

 

確かな歴史理解と確かな現実理解を誓って政治が行なわれている、ように見える、が、そう見えるだけ、私たちの目はふりに弱い、実体を見通せない。

 

この国は相変わらず不確かな歴史理解と不確かな現実理解のままに漂流し続けている、私にはそう見える。

 

ふりにまみれた分断社会を見据え、骨、血管、筋力のバランスの回復を、人に頼らず、ものに頼らず、薬に頼らず、セルフコントロールして。

 

くちづけとぶどうと死をも分かち合える友を得た者よ

大いなるしあわせに恵まれた者よ
星々のきらめく彼方に向かって共に歓喜の声をあげようではないか

この世が厳しく分け隔てるものを結び合わせるために

 

 

うちむらとしのりシェイクスピア朗読           

http://shaks.jugem.jp/

 

 

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