シェイクスピア朗読

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男装の麗人ー『十二夜』1幕5場

 

船が難破してイリリアに流れ着いたヴァイオラは、男装して身分を隠して公爵のお小姓になりすます、自分の体に合った服、靴、靴下、帽子がよく似合いう男前になって賢い道化のお気に入りに、いやお姫様にも惚れられてしまう。

 

異性装は男らしさや女らしさという意識を取り払って自由に自分を表現できるでしょう。

 

舞台を観る当時の観客も、らしさに囚われている窮屈な自分の価値観に気づき、ああ、いいなあ、解放されると感じたのではないでしょうか。

 

今日は男っぽい感じに、明日は女っぽい感じにと、その日の気分で衣服を着こなしてのびのび生きている御仁はいままでもいたし、現にいまも大勢います。

 

公爵の使いでやってきた男装のヴァイオラを一目見て、オリヴィア姫はその瞬間から異常な心理状態に陥ります。

 

 

オリヴィア どんな風に恋していらっしゃるのかしら?

ヴァイオラ 崇め憧れ、とめどなく涙を流し、

 呻き声が愛を轟かせ、溜息が火を吐くように。

オリヴィア ご主人はご存知のはず、愛することはできません

 徳高く、ご立派で、

 所領も大きく、若々しく曇りのないお方でいらっしゃいます。

 皆さんの評判もよく、自由闊達、学問があり、勇気もあり、

 体つき、身なりもよくて、

 素敵な方です。でも私は愛することはできません。

 もうとっくにお返事に納得いただいているはずです。

ヴァイオラ 私が主人のような情熱であなたに恋したら、

 あんなに苦しんで、あんなに死ぬほどの思いで。

 そんなお断わりなど、何の意味もない、

 何を仰っているのやらさっぱり。

オリヴィア まあ、じゃああなたならどうなさる?

ヴァイオラ 御門の前に柳の枝で小屋を作り、

 お屋敷のわが魂に呼びかけます、

 拒絶された恋の誠実さを旗印にして、

 真夜中にも声高にうたい届けます。

 エコーを返す山々にあなたの名を叫び、

 あたりの空気をざわめき騒がせて、

 オリヴィアと喚かせ続ける。あああなたを休ませたりしない

 この天と、地の間で、 

 私を憐れんでくださるまでは。

オリヴィア 大変なことになりそう。

 あなたはどういう素性の方?

ヴァイオラ いまの運命よりは上、だが今もまあまあ。

 紳士です。

オリヴィア ご主人にお伝えください。

 愛することはできません。もうお使いはご無用、

 でも(たぶん)あなたが来るなら別、

 返事をどうお取りになるかの報告にね。さようなら。

 ご苦労様。これをどうぞ。

ヴァイオラ 雇われているのではない、お嬢様。財布を収めて、

 私の主人のほうです、私じゃない、返礼を欠いているのは。

火打石におなりなさい、これからあなたが慕われる方の心が、

 あなたがどんなに私の主人のように恋焦がれても、

 軽蔑されますように。ご機嫌よう美しくて残酷なお方。退場

 

                   1幕5場

 

 

Ol. How does he loue me?

Vio. With adorations, fertill teares,

 With groanes that thunder loue, with sighes of fire.

Ol. Your Lord does know my mind, I cannot loue him

 Yet I suppose him vertuous, know him noble,

 Of great estate, of fresh and stainlesse youth;

 In voyces well divulg'd, free, learn'd, and valiant,

 And in dimension, and the shape of nature,

 A gracious person; But yet I cannot loue him:

 He might haue tooke his answer long ago.

Vio. If I did loue you in my masters flame,

 With such a suffring, such a deadly life:

 In your deniall, I would finde no sence,

 I would not vnderstand it.

Ol. Why, what would you?

Vio. Make me a willow Cabine at your gate,

 And call vpon my soule within the house,

 Write loyall Cantons of contemned loue,

 And sing them lowd euen in the dead of night:

 Hallow your name to the reuerberate hilles,

 And make the babling Gossip of the aire,

 Cry out Oliuia: O you should not rest

 Betweene the elements of ayre, and earth,

 But you should pittie me.

Ol. You might do much:

 What is your Parentage?

Vio. Aboue my fortunes, yet my state is well:

 I am a Gentleman.

Ol. Get you to your Lord:

 I cannot loue him: let him send no more,

 Vnlesse (perchance) you come to me againe,

 To tell me how he takes it: Fare you well:

 I thanke you for your paines: spend this for mee.

Vio. I am no feede poast, Lady; keepe your purse,

 My Master, not my selfe, lackes recompence.

 Loue make his heart of flint, that you shal loue,

 And let your feruour like my masters be,

 Plac'd in contempt: Farwell fayre crueltie. Exit

 

  fertill = ever-flowing   divulg'd =spoken   free = generous

  dimension, and the shape of nature 同義語で bodily form の意。

  flame = passion   willow 伝統的な rejected love のシンボル。

  contemned = rejected   reuerberate = eching   feede poast =

  hired messenger  

 

 

オリヴィア姫は男装の麗人ヴァイオラにうっとり、恋の病いに憑りつかれたようです。

 

男装により自由な言動を制約されているヴァイオラは、オーシーノ公爵を恋い慕うあまり、妹の恋という架空の話をでっちあげて胸に秘めた思いを伝えていたのでした。

 

この場では男らしく話して公爵の気持ちを代弁し、さらに公爵を慕う切ない女心をも込めてオリヴィアを罵倒しているのです。

 

そして、 ああ、時よ、これを解きほぐすのはお前、私ではない、こんな難しい縺れはとても私にはできないと嘆息、まもなくその時が来て、三者の関係の縺れはヴァイオラと瓜二つの兄セバスチャンの登場で大詰めを迎えます。

 

 

うちむらとしのりシェイクスピア朗読

http://shaks.jugem.jp/

 

 

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