シェイクスピア朗読

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遠い記憶ー『ヴィーナスとアドーニス』34〜36連

 

三横綱途中休場の大相撲も終わり、通常国会が始まりました。

 

聴こえてくるのは男の強がりと弱音。

 

日本国憲法は自由(freedom; liberty)と平等(equality )を保障する、その為に権力を抑制するが、のさばる多数決民主主義は頑迷そのもの、自由権や社会的平等権を踏みにじり、国会という自由に平等にオープンに審議すべき場を封じてきた、法治はことごとく人治に、もう随分長いこと、憲法無視で。

 

強気で押しまくった文書改ざんと記録なし記憶なしは厚労省の不正統計調査に引き継がれ、強がってみせた消費増税も選挙が気になり弱気になって軽減税率とプレミアム賞品券で誤魔化す、なんのこっちゃ、この手の無理強いを忖度して官僚も地方行政も右習い、いや司法までも。

 

日本社会は差別と排除、分断と格差拡大に俄然拍車がかかってきた、私たちはこの横暴をチェックすることができない。

 

お人好しの国民を御し易いと見たか、選ばれた者たちは貴族エリート気分で、何だってできる、とまあ、あの手この手を使って偽装、国民を騙しにかかってくる。

 

21世紀になっても変わらない日本人の、男の、強がり、脆弱性、精神のこわばり、前近代性が、こんな政治の劣化を招いている、グロースター伯爵同様に盲目のために、いや、うまく育たなかったために、未熟なために。

 

この身はかつて森だったのだ、里だった、川だった、泥と雑草の寄せ集めでできている自然そのものだった、私たちはそんな遠い記憶を忘れて、思い出そうとすらしない。

 

だから、土や雑草を汚いと軽蔑し、不要と見て、コンクリートで固め、海辺にうず高く防潮堤を築き、なけなしの海の風景を壊して美しい珊瑚の海を土砂で埋め尽くす、一事が万事この調子、この世に生まれ、どこに向かって歩いているのかが分からないために.

 

一歩また一歩と、山、里、川、海に環って行っているのに。

 

私たちは山、里、川、海のなかで生まれ、そのなかで生きてきた、多くの自然とひとつながりに繋がって生きてきた、そして草木国土悉皆成仏だった。

 

子どもの頃草木や水と戯れることはなかったのか、エリート教育を受けて、選ばれることと舞い上がることしか学ばなかったのか。

 

魂は、土に還る、里に還る、海に還る、川に還る、山に還る、天に昇ったりはしない。

 

往くべき道はふるさとしかないのに、ふるさとはもうない、土砂やコンクリートに埋め尽くされて。

 

いや、ある、遠い記憶のなかにある、ふるさとはこの世の向こう側にある。

 

自然を征服して貴重な生きものを絶滅させてきた私たちは、自然を環境などと言い間違えて、環境にやさしくなどと言っていじくりまわし、好き放題にいじくり回してしまった、それがいまの日本列島、そんな日本社会のトドの詰まりに登場してきたのがコンピュータ、いつの間にか人工知能の時代になっていて、抑揚のない金属音だけが聴こえてくる、自然からの泥臭い生の声はもう聴こえてこない。

 

君は、野性に還ることができるだろうか、潜在脳は確かか、深い意識を呼び覚まして、美と愛と豊穣の女神ヴィーナス(Aphrodite)をイメージできるか。

 

ヴィーナスが現実に存在するのか妄想の産物なのかは知らないが、遠い記憶を辿れば女神がふるさとにいることだけは確か。

 

そう、還るべき先にはヴィーナスがいる、海にいる、泡から生まれ貝の船に乗って、いや、山にいる、川にいる、里にいる、自然のなかにいる、いや、自然そのものとして、懐かしいものとしている、大地の母として。

 

大地を、懐かしいものを、愛してやまぬものを思い出そう、懐かしいものを思い出して血の通わない冷たい石像から甦ろう、ヴィーナスを愛することのできる大人の男として。

 

ヴィーナスとアドーニスのイメージを多面的に理解できれば面白い。

 

 

 頑固よね、火打石、鋼みたいに固いんじゃない?

 火打石だって、雨に打たれれば砕けるでしょうよ。

 女から生まれたのであれば感じないはずがない

 恋することがどんなものか、恋の苦しみがどんなものか?

  あなたのお母さんがそんな固い心の生まれなら、

  あなたを生むことなく、冷酷なまま死んだでしょう。

 

 どうしてこんなに軽蔑されなきゃいけないの?

 どうして怖がるの、私の求愛を?

 どうして口づけがあなたの唇に具合いが悪いの?

 きかせて、やさしい言葉を、でなきゃ黙っていて。

  私に口づけして、お返しするから、

  利子付けて、よかったら倍にして。

 

 何よ、血の通わない肖像、冷たくって、動かない石像、

 きれいに塗りたくられた偶像、生気のない像、死んでるのよ、

 人の目を楽しませるだけの彫像、

 姿は男のようだけど、女から生まれたんじゃない。

  男じゃない、男のように見えるけれど。

  男だったら口づけが好きなはずよ。

 

                 34〜36連

 

 

 Art thou obdurate, flintie, hard as steele?

 Nay more then flint, for stone at raine relenteth:

 Art thou a womans sonne and canst not feele

 What tis to loue, how want of loue tormenteth?

  O had thy mother borne so hard a minde,

  She had not brought forth thee, but died vnkind.

 

 What am I that thou shouldst contemne me this?

 Or what great danger, dwels vpon my sute?

 What were thy lips the worse for one poore kis?

 Speake faire, but speake faire words, or else be mute:

  Giue me one kisse, Ile giue it thee againe,

  And one for intrest, if thou wilt haue twaine.

 

 Fie, liuelesse picture, cold, and sencelesse stone,

 Well painted idoll, image dull, and dead,

 Statüe contenting but the eye alone,

 Thing like a man, but of no woman bred:

  Thou art no man, though of a mans complexion,

  For men will kisse euen by their owne.

   

   relenteth = weary away    want of loue = being denied love  

     contemne = scorn    complexion = appearance   direction = inclination

 

 

ヴィーナスが嘆いている、このアイロニーは面白いんじゃないか。

 

シェイクスピアは劇作家だが、その前に詩人です。

 

アイアンビックペンタミータ(弱強5詩脚)の詩のせりふを書きまくったばかりではない、短い詩(ソネット、12行詩)と長い物語詩を書いた詩人です。 

 

エンターテイナーだから、通り一遍の言い回しには飽き足りない、作り方、読み方、捉え方を一変させて、心底楽しませることのできる力量ある大詩人。

 

読めば、意識の深みにある遠い記憶を、懐かしい経験を想い出させ、現代の空洞を少しは埋めてくれるのではないか。

 

 

シェイクスピア朗読教室

http://shaks.jugem.jp/

 

 

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